大丈夫です、わかります。
話も英語も知識ゼロの私がロンドンでミュージカルを見てわかったのだから、きっとわかる!
ただし、さすがにそれは色々と誤解していたことが後になって発覚した。
映画は字幕があるので誤解もないと思います。
吹き替え版はおそらく無いのでは。というのは、この映画は「ミュージカルの完全再現」なので、90%が歌だからです。
仮にあったとしても字幕をお勧めします。
役者の熱演のパワーは、おそらく、吹き替え無しの歌を聞かないと半減してしまうかと。
映画でしかできない歌と演技を堪能するためにも、字幕が良いです。
あと、やはり和訳では伝わらないニュアンスがあるので、和訳を頭に入れつつ英語歌詞も読んでみると良いです。
無理しなくても、レミゼの歌は曲を覚えれば歌いたくなるので遠からず歌詞を探す羽目になります。
3回目にしてようやく気づく、ミリエル神父がコルム・ウィルキンソンだと。
おいいいいいい!!!!いい加減少しは下調べしろよ私!!!!
あれ?これもしや・・・と思ってから2時間半後、あんなにエンドロールをガン見したことはかつて無かった。
そりゃヒュー・ジャックマンも熱演になるわ!!
3回目見て、アン・ハサウェイは相変わらず凄いのですが、やっぱこれヒュー・ジャックマンが凄いんじゃね?と思いました。
囚人、権力者、コゼットの父親、とジャン・バルジャンの人生は変わっていくけれど、それぞれの段階でその肩書を捨てる時が来る。その全てで感動する。
それぞれの段階のシーンは決して多く無いです。ただ、ヒュー・ジャックマンの表情に、過酷や、満ち足りた思い等がはっきりと演じられていて、一瞬にして感動の土台となるジャン・バルジャンの人生を観客にわからせています。
だから、彼の悩みや決断に感動できるのだと思います。
あとそれから、何度見ても、「In my life」を歌うマリウスの後頭部を志村後ろ後ろと叫びながらぶん殴りたい。助走をつけて。
あいつの浮かれっぷりが腹立つ!可愛いけどほんっっと腹立つ!
馬鹿だよ!ほんっっと馬鹿だわこの子!!くっそぉぉぉぉ!!好きだー!!!
・・・あのね、レッドメインのマリウスね、ほんと可愛いんですよ。ほんと馬鹿だけど。
ジャン・バルジャンに「君にだけ話しておきたいことがある」って言われたときの、え?なになに?みたいな、おやつあげるって言われた時のワンコみたいな表情とか。
ジャン・バルジャンがこいつの命助けたくなった気持ちがめっちゃわかる。まさに「まだほんの子供です」。死なせられないよこれは・・・
小説のマリウスの、「ルイ十八世の大豚なんか死んでしまえばいい!!」という台詞が、直後の『ルイ十八世は既に四年前に死んでいたが、彼にとってはそんなことはどうでもよかった』という一文とセットで好きです。
あいつを相手にしたくなかったファンテーヌの気持ちがわかる気がする。
映画は、まあ下品な男ですよ。
でも舞台の奴は何かよくわからないけどムカツクんだよ。
なんていうか、映画の奴は汚いジャイアンなんだけど舞台の方は汚いスネ夫なんだよ。
伝わるだろうかこの違い。
役者の名前はわからないし、どういう基準と経過を経て「ドリームキャスト」として抜擢されたのかはわからないけれど、まさにドリームキャストの看板に恥じないキャスティングだったと思います。
全訳ではなく、「ユゴーが寄り道しすぎた部分を除外した」版だそうです。
具体的にどういうことかと言いますと、「全訳するとジャン・バルジャンが登場するまでにミリエル神父について100ページ語ることになる。確かに彼は大事な存在だが、いくらなんでもここまで語る必要は無い」だそうで、訳者さんグッジョブ。
お陰様でとても読みやすく面白く夢中になれます。
この版で通して読んで、さらに深く知りたくなったら全訳を読むこととします。
で。
読んでると自然と頭の中に登場人物が浮かんできます。レ・ミゼラブルの役者さんです。ミュージカルから抜擢された人もいれば映画から抜擢された人もいる。
ここで自然に浮かんだ役者さんが、つまり最高のキャスティングであろう。
ということで、ちょっと書いてみます。
ジャン・バルジャン =コルム・ウィルキンソン
ジャベール =フィリップ・クワスト
・・・あれだけラッセル・クロウを絶賛しといてこのザマは何だと言われるかもしれませんが、これは仕方ないだろ。
ていうかこの二役は10周年記念キャストと比べてやるなや、ヒューもラッセルも凄く良かったよ、ただ上記二人に勝つにはもう一度ジャン・バルジャンとジャベールになるために生まれ直すところからやらなきゃ無理だよ。
あと、小説ではジャベールにかなりお茶目な一面があり、これがラッセルの演じ方だと想像できない。それはラッセルの罪ではない、ミュージカル完全再現だとそんなお茶目さは絶対要らないので。
そのお茶目な状況をちょっと説明しますね。
まず、テナルディエと悪党一味がいますね。今丁度ジャン・バルジャンをぶっ殺そうとして監禁中です。
そこに警察が来たという情報が入りました。大慌てです。窓から逃げようということになります。
ですが、全員馬鹿なのでその一刻も争う状況の中、誰が一番最初に逃げるかくじ引きをしようという話になります。
テナルディエだけが怒鳴ります。馬鹿かお前ら!?帽子にくじ入れて引くってか!?
そこで背後から声が。
「俺のでどうだ?」
振り向くとジャベールがを帽子を差し出しつつにっこり笑って立っていたのでした。・・・
この状況をフィリップ・クワストで想像して悶絶した私を誰が責められよう。
ファンテーヌの懇願に「そんな言い訳は20年毎日聞いてきた」と冷たく返す男がこんな冗談を。
ああくっそくっそくっそ!!
ジャン・バルジャンは原作で、とんでもなく脱獄スキルが高く、上記の監禁された状況でも悪党を数人殴り倒して抵抗、多勢に無勢で縛りあげられても手に鑢を隠し持ち、隙を見て縄を切断、熱したノミを奪って逆襲に転じる、というやんちゃっぷりです。
ヒュー・ジャックマンもできそうですが、彼がやるとレ・ミゼラブルが何か別の映画になってレーザービームとか飛んでしまう可能性があり、やはりコルム・ウィルキンソンくらい見た目とのギャップがあった方がクソ萌えるという結論になります。
次行きます。
マリウス =エディ・レッドメイン
コゼット =アマンダ・セイフライド
マリウスは完全に趣味の問題。10周年記念のマイケル・ボールはマリウスとして素晴らしい、素晴らしいよ、だけどいかんせん、コゼットとエポニーヌが彼に一目惚れするには少し太り過ぎだと思う。
エディのマリウスはハンサムだが鈍感で頼りないにも関わらず無謀、という絶妙さがリアルで良いと思います。
コゼットは、アマンダのクライマックスの演技が何気に凄い。死にゆくジャン・バルジャンの元に駆け付けた時のあの無邪気さ、そして父を亡くした時のあの泣き顔。ジャン・バルジャンが彼女を大切に育てた理由がそれだけでわかる気がしました。美しいです。
ただ、幼少期のコゼットは、小説中で醜さを描写する記述ががっつり描かれているため、10周年ミュージカルの子がはまります。映画の子は可愛すぎる。
エポニーヌ =10年前にロンドンで演じてた女優。
・・・私が初めてレミゼのミュージカル見たときのね、役者がね、はまり過ぎてて動かせない。
レア・サロンガも素晴らしい、サマンサ・バークスも素晴らしい、のですが。
テナルディエ =小説の挿絵
そのかみさん =ジェニー・ギャロウェイ
小説のテナルディエは真面目に悪人なので、ミュージカルのイメージだと愛嬌があり過ぎ、はまらない。
むしろ法廷画家の下書きかと思うような殺伐とした挿絵が合ってる気がする。
ただ、その奥さんはそこまで悪人ではないが「モンスター」、と明記されているので、10周年の人ぴったりだと思う。
個人的にはサシャ・バロン・コーエン(映画)のテナルディエ大好きです。馬鹿かつかっこよい。
ファンテーヌ =アン・ハサウェイ
これは、もう。
舞台の方の女優が聡明すぎるのかもしれない。小説のファンテーヌは、非常にはすっぱで、愚か。
遊び人に騙されて子を孕み、たまたま幸せそうに見えたからというだけでテナルディエ家にその子を預け、不用心過ぎて職を失い、見え透いた嘘に騙されて金を巻き上げられる女です。その上、気だけは強い。
アン・ハサウェイはそこによくはまると思います。知的な女優なのに、不思議なことです。
レミゼ良いね・・・やっぱり・・・・
見てきましたレ・ミゼラブル映画版!!再び!
今回はおっさん達・・・特にラッセル・クロウをガン見するという目的で!
いやかっこいい・・・かっこいいよ・・・ぉぉ!!
ラッセル・クロウ、歌は、特に高音の魅力でミュージカル俳優に負けてると思います。
フィリップ・クォーストなんかと比べると明らかに。
それはジャベールという役の歌がそもそも終始よく通る声で朗々と歌う向きの歌だからというのもあるのかもしれないけれど。
ただ、ジャン・バルジャンとの駆け引きや、映画だからできる押さえた声のソロは、本当にかっこいいです。
OneDayMoreの合唱なんか、もうあれよ、マリウスとかがどんなに頑張ってもイブシ銀の魅力には勝てないってのを見せつけたよ。素晴らしいよ、このおっさん好き万歳映画。
ラッセル・クロウの声好きだああああ・・・ぁあああ。
ジャン・バルジャンは、優しい顔がじーんとくる。マリウスとコゼットを見守る時のあの顔が、じぃぃぃぃぃぃぃぃんと来る。
ていうかね、コゼットをマリウスに託して姿を消す時に、荷物が重くて馬車の前で一度腰をおろして休むシーンがあるんですが、そこでボロ泣きですよ。
荷馬車担ぐほど力のあったジャン・バルジャンが、いつのまにか箱ひとつ運ぶのに重くて休まなければならないほど歳取って・・・若い恋人たちとの対比が寂しくて哀しくて。
ヒュー・ジャックマンて凄いですね。よくわかんない怪人になって街破壊してるイメージしかなかった・・・マジ申し訳ない・・・
歌は、ソロの力強さは抜群です。ていうか、あれだけの演技しながらよく歌えると思う。
感情を込めずにさりげなく歌うという点ではラッセル・クロウの方が上手いかもしれません。時々「あ、歌いだしたな」と観客に気付かせるところはあるので。
そしてもう一人のおっさん、サシャ・バロン・コーエンのテナルディエですが。
なんでこの役こうなったんだかわかりませんが、色気がやばい。
邪悪さはミュージカル以下、クズさはミュージカルと同等かそれ以上、間抜けっぷりは確実にミュージカルより上、頭悪そう度はさらにそのはるか上という誰かを思い出させる男になっている。
そのいかにもあじゃぱァと言いそうな男がとぼけた顔で「身ぐるみはがすぜ」とか歌ってくるので、ときめきがはんぱねえ。
くっそくっそくっそ!!
なんでいっつもこんなのばっかりに心持ってかれるんだクソが!!!
・・・いや、でも、まだ現時点ではラッセル・クロウのジャベールに心預け中なんで。
あと一回観たらどうなるかわからんけども。
ああ・・・男は50からだねマジ・・・・
そして、何度見てもアン・ハサウェイが凄すぎる。
最初に見た時も凄かったが改めて見るとさらに凄いというこの凄さ。
私の前の座席に、ミュージカルを理解できない上に劇場を自宅のテレビか何かと勘違いしてる馬鹿二人組がいて、ひっきりなしにしゃべっては泣きどころで声をあげて笑うというクソ馬鹿の垂れ流し祭を開催していましたが、その馬鹿も彼女の歌だけは黙りました。
すげえよ。
