槇村香という女性

獠にとってなぜ香はオンリーワンの存在なのか。

香がほかの女性と決定的に違うのは、獠に対する考え方ですよね。
他の女性が「冴羽さんは素晴らしい人。私にはあなたが必要なんです！」と惚れて行くのに対して、香だけは最初っから「獠には私が必要！」と思っている。
これは「あんたには新しい相棒が必要でしょ！」からずっとそう。しかも口先だけじゃなく、掲示板めぐりとか依頼人の応対とかもっこりの撃退とかその為に寝場所を移すとか、自分にできる事を自分で見つけて頑張っている。獠に突き放されると泣いて逃げるのではなく、必死になって獠の為に自分が役に立てる事を探して実行する。

これが凄く違うんだと思うなあ。獠にとっては。

獠は家族を知らない人じゃないですか。誰かに甘やかされるって、無かったと思うんですよ。
ずっと頼られっぱなしで、しかも優しいからそれで不満も見せずに来たわけですよ。どんな突飛な状況でも女性が抱きついてきたら嫌な顔しないで「わぁお♡」って喜んであげる獠はクソ優しいと思う。
香だけが打算の無い無償の愛を注いでくれる人なんですよ。

だって考えてみてくださいよ。
１依頼大体５日程度で解決させるとして、３~４話とすると月１件。年12件ということは約60日間が本気の仕事。
ということは、365日のうち残り300日程度は飲んでエロ本見てナンパと下着ドロやってる男ってことですよ。

第265話の冴羽獠「こんなおれに5年もつきあってくれた・・・」

全くだよ。心から。
香は天使か何か！？よくつきあった本当に！
表の世界の女友達が全くいなかったのが幸いしたのかもしれませんね。いたら絶対そんな男もうやめなさいよ言われてるはずだからな。

そして「獠には私が必要！」は、結局、真実だったんだと思います。
獠もそれがわかってたから、絶対香を手放せなかった。
香が消えたら獠は、黙って壊れて死んでいく気がするんですよ。エンジェルハート読めねええええ！！怖い！怖すぎる！！想像するだけで心臓が痛い！

一方で香は、香自身が思ってるほど獠がいなければ生きていけない人間では無いんじゃないかと私は思う・・・
孤独の後に香と出逢った獠と違って、香はアニキから獠に保護者がスライドしただけで、幸薄いとはいえ天涯孤独にはなった事がないじゃないですか。
獠が殺されかけると動転するのは、一人になるという未知の状況への恐怖が一番強いのではないか。香は人に好かれて面倒を見てもらえる子だし、獠がいなくてもぶっちゃけ生きていけると思います。
そんなところも獠はわかってたから、香を表の世界へ返すという選択肢を捨てる事ができなかったんじゃないのか・・・

それがミックの一件で、獠が死んだら自分も死ぬと言われ、初めて泣いて訴えられ、獠はようやく、香にも自分が必要だと思う事ができたんじゃないでしょうか。
香に叫ばれた後の獠の顔は素晴らしかった。あのコマ絶対忘れない。

そう考えると、香にいい感じの告白する時にいつも「これからも俺と一緒にいたいなら」とか「おまえがずっとおれのもとにいたいと思うなら」ってつけるのは、冴羽獠にできる最大限の自信無さの吐露なんだと思った。
誕生日プレゼントも、香が先に「来年も再来年も一緒にいたい」と言ってなかったら、獠は言えなかっただろう。あの獠の返事は、香がいてくれる限り一緒にいたい、ってことなんだろう。同じように見えて二人の意味は微妙に違ったんじゃね？切ねええええ・・・

第265話の冴羽獠「家族のひとりになってほしい・・・」

これの２コマ後の獠の目、俺なんかが香にそんな事を言って良かったのか的な後悔してる目に見えてきたわ。
ここまで言っときながら貴様なんでその後茶ァ濁したと思ってたけど、そうか、そういうことだったのか・・・・

香がパートナー的に活躍してる時、獠はほんと嬉しそうですもんね。
そりゃ、愛した女が自分のために頑張ってるわけだからな。嬉しいんだろうなあ心底。