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2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
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カエ「・・・・・・・・」
シロ「・・・・・・・・・・カエンタケ」
カエ「うン?起きてたのか」
シロ「重くない?」
カエ「軽かぁねぇよ。背負えねえほどじゃあねえが」
シロ「ごめん」
カエ「フン」
シロ「・・・・・・・・・あのさ」
カエ「なんだ」
シロ「ベニナギナタタケ、カエンタケと一緒にいたいって言ってた」
カエ「・・・・・・・・・」
シロ「一緒に居れば人間達も見分けがつくようになって、誤食もなくなるって、言ってたよ」
カエ「・・・・・・・・・俺ぁ別にどうでもいいさ」
シロ「そんなことないだろ?だってカエンタケは」
カエ「ベニナギナタが何を言ったか知らんがな。俺は自分が毒だってことはとっくの昔に知ってたぜ。人間が俺を食って死ぬの生きるの、今さら騒ぐ気もしねえ」
シロ「知ってたの!?でもカエンタケが毒だってわかったのは最近だって!」
カエ「本草図譜にゃ毒だって書いてあるってのは聞かなかったかい。江戸時代からこの方敬遠されてるキノコなんざ少なくとも食のハズぁねえだろう。手前ぇのことは手前ぇが一番わかってらぁな。確かに毒札貼られたのは最近だがな、俺にとっちゃ昔も今も変わったことなんざねえよ」
シロ「・・・そうなの?」
カエ「おうよ」
シロ「だったら、だったらなんでベニナギナタタケは・・・」
カエ「あいつは俺に怯えてんのさ」
シロ「え?」
カエ「俺ぁ人間がキノコ食って死んでも気にも留めないキノコだ。食うか食わねえかは人間の勝手だろう。キノコがどうこうできるこっちゃあねえと、昔から俺ぁそう思ってたし、何も変わっちゃいねえ。だが俺が毒だとわかったことで、俺のそういうタチがベニナギナタの前に晒された。あいつにとっちゃ俺が変わったように見えたんだろうよ。まあ無理もないかねえ、あいつと暮らしてる間は俺も随分優しい男だった」
シロ「カエンタケ・・・・」
カエ「ベニナギナタが俺と一緒に居たいってのは妙な責任感じてるせいさ。俺の毒札はあいつとの誤食が原因みてえなもんだからな。馬鹿な女さ・・・・・まあ、あいつのこたぁ俺でケジメをつける。お前さんは手前ぇのことを何とかしな。ドクツルタケも今頃は傘青くしてお前ぇを探してるだろう」
シロ「そうかなぁ」
カエ「おい・・・・野郎ってのは損だねえ、女には大概信じてもらえねぇ」
シロ「ねえカエンタケ?」
カエ「んン?」
シロ「ベニナギナタタケのこと、好き?」
カエ「・・・そういう青臭ぇ感情、俺らにゃ縁の無い話だ」
シロ「ベニナギナタタケはカエンタケのこと好きだよきっと」
カエ「もう黙って寝ろ」
シロ「好きだから一緒に居たいんだよ。カエンタケもそう思わない?」
カエ「放り出されてぇか」
シロ「・・・・・・やっぱり恐いな、カエンタケは」
カエ「フン」



・・・・照れてるというより、なんかもう相手するのがめんどくさくなってきたカエンタケ。
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