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2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
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スギ「スギね、お散歩してたのよ。そしたらあなたを見つけたの。どこ行くんだろうって思ったの。あなたのことがとっても気になって気になって・・・・昨日からずっと気になってたのよ」
シロ「そ、そうなの?昨日はごめん、ドクツルタケと話してたのに邪魔して」
スギ「いいの。スギ、気にしてないよ?ねえ一緒に歩いていい?どこに行くの?」
シロ「カエンタケの家だよ。昨日あのあとちょっと色々あってさ、お世話になったからお礼言いに行くんだ」
スギ「そうなんだ。シロフクロタケは偉いね。毒キノコとも仲良くしてくれるんだね」
シロ「そんな、そんな差別・・・・しないよ」
スギ「そうなの?」
シロ「うん。もう絶対しないって決めたんだ」
スギ「ふうん・・・そう。じゃあドクツルタケと仲直りした?」
シロ「え?・・・あ!あれは私が悪いんだ」
スギ「なんで?ドクツルタケがあなたを毒にしようとしたのに」
シロ「それは私が先にあいつに変なこと言ったせいなんだ。今日会ったらちゃんと謝って、仲直りするよ」
スギ「・・・・・ふうん・・・・そう」
シロ「スギヒラタケはドクツルタケと仲が良いんだね。昔から?」
スギ「スギはドクツルタケが好きなの」
シロ「そ、そうなんだ」
スギ「昔はおうちが近くだったの。その時は良かったの。だけどスギのおうちだった木が全部腐って崩れちゃったから、お引越ししたのよ。そしたらね、スギ人間に採られるようになった」
シロ「そうなんだ。スギヒラタケはもともと食用だもんね。私も食用だよ。スギヒラタケはどんな料理にされるのが好きだった?私はやっぱりキノコ鍋・・・」
スギ「スギはいや!」
シロ「!」
スギ「人間に採られるのなんていや!いや!いや!」
シロ「そ、そうなんだ・・・・ごめん」
スギ「・・・・・お引越ししてからわかったの。今までスギのところに人間が来なかったのは、スギの棲んでたところがテングタケの土地だったからなのよ」
シロ「テングタケってあの毒キノコの名門の?」
スギ「そうだよ。ドクツルタケもテングタケ科のキノコでしょ」
シロ「そうなの!?」
スギ「知らなかったの?」
シロ「し、知らなかった・・・ていうか考えたことなかった。そうか・・・ドクツルタケ、テングタケ科の・・・」
スギ「ドクツルタケはテングタケの一族の中でもすごく毒の強いキノコなのよ。すごいのよ」
シロ「あいつエリートだったんだ・・・意外!」
スギ「そうなの、ドクツルタケはすごいのよ。うふふふ・・・・・だけどお父さんとケンカして家を飛び出して・・・・・スギがお引越ししたのはそのあと。それから昨日まで会わなかった」
シロ「そうだったのか」
スギ「噂はいっぱい聞いたよ?ドクツルタケがこっちの方で生えてるってことも、シロフクロタケと誤食されるってこともねえ」
シロ「あー・・・ほんとよく間違われるんだ」
スギ「ドクツルタケがかわいそうだねえ。間違って採られるなんて」
シロ「・・・そう、だね」
スギ「でもシロフクロタケはいいね。ドクツルタケと似てたら採られないよねえ?」
シロ「え?あ、うん。そうかな。やっぱり人間も注意する」
スギ「スギはね、似てる毒キノコってあんまり無かったの。ヒラタケもトキイロヒラタケも食用だから。だからひとりになったら誰も守ってくれなくなった。自分で何とかしなくちゃって・・・だから食べて食べて毒になったの」
シロ「・・・・そう言ってたね」
スギ「食べて食べて食べて食べて・・・毒になったらほっとした。スギもう大丈夫だって。・・・だけどね」
シロ「?」
スギ「泣けなくなったの。泣くのが怖いの。泣いたらせっかく溜めた毒が外に出ちゃうよ。食べてる時スギは泣かなかった。それどころじゃなかった。毒になる為に一番大事なことは泣かないことなんだよ。シロフクロタケも泣いちゃダメ。泣かなければ毒になれるよ」
シロ「わ、私は毒にならないよ?」
スギ「なるよ。ドクツルタケがそうするって言ったの、だからなるよ」
シロ「違うんだ。あれはその・・・・私が先にドクツルタケに毒キノコやめろなんて言っちゃったから」
スギ「・・・毒キノコやめる?」
シロ「うん・・・・」
スギ「それ言ったの?シロフクロタケがそれ言ったの?ドクツルタケに?」
シロ「うん・・・・・・」
スギ「ドクツルタケ、それ聞いたときなんて言った?」
シロ「・・・俺が毒キノコやめたら、お前が人間に乱獲されるだろ、って。そう言ってた」
スギ「・・・・・・・・・」
シロ「あいつ優しいんだ。・・・けど!本気だったのかどうかはわかんないなあ、単に色とか形変えるのがめんどくさかっただけかも!」
スギ「・・・・・・そうなんだ」
シロ「あは、ドクツルタケって時々何考えてるかわかんないんだもん。ね?」
スギ「・・・スギにはわかるよ」
シロ「え?」
スギ「ドクツルタケ、毒キノコやめる方法探しに来たんだよ。それでスギのとこに来たんだよ。毒になる方法がわかったら毒やめる方法もわかるかもってそれでスギのところに来たんだよ。そう言ってたよ」
シロ「・・・・・・え・・・・?」
スギ「かわいそうだよねえドクツルタケ。本当にかわいそう。シロフクロタケと間違われて人間に採られるのに、シロフクロタケに毒キノコやめてなんて言われたんだ。シロフクロタケのためなんだ。シロフクロタケのせいなんだ。あなたのせいなんだ」
シロ「スギヒラタケ・・・・?」
スギ「あなたのせいでドクツルタケは傷ついたんだ。あなたのせいでスギのところに来たんだ。あなたのせいでスギのこと嫌いになったんだ。あなたのせいなんだ、全部あなたのせいなんだそうなんだ」
シロ「え・・・・・・え・・・・?」
スギ「大っ嫌い。あんたなんか大っ嫌い。ドクツルタケ返して?スギに返して?ねえ返して?返して?」
シロ「返してって、そんな・・・・」
スギ「返してよぉっ!!ドクツルタケはスギのものだよ!!あんたなんかにあげない!!」
シロ「!!」
スギ「どうしてスギのもの取るの!?どうしてみんなスギのこと嫌いなの!?スギだって嫌いだよ!!シロフクロタケなんか大っ嫌い!!シロフクロタケなんか死んじゃえばいいっ!!」
シロ「スギヒラタケ・・・・・・!」
スギ「死んじゃばいいんだよおおおおおっっ!!!!」
シロ「!!!」
スギ「うわああああっ!!!!!」
ドク「!!シロ・・・・!!!」

 ザシュッ!!

ドク「っ・・・・・!!!」
シロ「!!?」
スギ「・・・・・・ど、ドクツルタ・・・ケ・・・・?」
シロ「ドクツルタケ・・・・な、なんで・・・・?」
ドク「・・・・シロ、お前ケガ、無い・・・・?」
シロ「わ、私は大丈夫・・・・けど・・・・ドクツルタケが・・・・」
ドク「そっか・・・・・・・よかっ・・・・・・・っ・・・・・」
シロ「・・・・ドクツルタケ?ドクツルタケ?ドクツルタケ!おい、ドクツルタケ!!」
スギ「あ・・・・あ・・・・・」
シロ「うそだドクツルタケ!!しっかりしろ!!ドクツルタケっ!!」
スギ「・・・・す、すぎ、わるくない・・・・」
シロ「スギヒラタケ!救急茸呼んで!早く!」
スギ「スギ悪くない・・・!」
シロ「スギヒラタケ早くっ!!」
スギ「シロフクロタケのせいだ!!全部全部シロフクロタケのせいだっ!!スギ悪くないスギ悪くない!!いやいやいやいやあああああああああっ!!!!」
シロ「スギヒラタケ・・・・!!」
スギ「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
シロ「っ!!誰か!誰かあああっ!!」

ツマ「シロちゃんッッ!!!」

シロ「ツマミタケママぁっ!!」
ツマ「どうしたのッ!?どうなってるのッッ!?!?どういうことコレッ!!?」
シロ「ドクツルタケが・・・・ドクツルタケが死んじゃうよぉっ!」
ツマ「ドクツルちゃん!!?ひぃーーーっっ!!ダメよッ!!そんなの絶対ダメッッ!!今すぐ救急茸呼ぶわ呼んでくるわッッ!!ここから一番近いおうちはどこッ!?」
シロ「こ、ここから一番近い・・・・あ!カエンタケ!」
ツマ「カエンタケ!?そうだわすぐに行って来るわシロちゃん!ここ動いちゃダメよッッ!!」
シロ「う、うんっ・・・」
ツマ「すぐ戻ってくるわーーーーッッ!!!」
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