日中、あまりの眠さにデータ加工をしながら舟をこぎまくって、100と3つの世界の川を巡り歩いた骨と皮~の男なるところでした。眠い。眠すぎる。こんなに眠いのは普通じゃない。PCの画面から睡眠電波が出てるとしか思えない。たとえドン・ガバチョが出てきても驚く気力すらない。ドン・ガバチョ?出てくんじゃね?Intel入ってんじゃね?もうなんかそんな感じでぐだぐだです。
しかしゲームの中では元気です。
火炎槍の設計図をカゲに渡した坊ちゃん一行は、用事が済んだのでレナンカンプに帰りました。
帰途で再び虎狼山を越えましたところ、今度は誰も休もうって言わなかった。あまりにもスルーすぎる空気に逆に気を使ってルドンに顔見せに行った。奴もノーリアクションだった。普通の宿屋のフリしてた。もういいよ、ちくしょう。さっさと帰ればいいんだろ!帰る帰る!こんなクソ寒い山もう二度と来ない!レナンカンプはいいところだね!けやき亭のご主人、坊が只今帰りましたよー・・・・・・
何で倒れてんですか床に。
宿の入り口をくぐったとたん目の前で昏倒している人イベントでした。これには坊ちゃんもさすがに度肝を抜かれました。
ちょっと!大丈夫!?生きてる!?
「て・・・帝国の奴らが・・・・」
またあいつらかよ!!正直うぜぇよ!!なんなのもう!用があるなら事前に連絡しろよ!連絡してくれたらこっちだって相応におとといきやがれって言ってやるんだよ!!それがプロミス大人のマナーだわかったか!!・・・・あ、オデッサ!馬鹿、一人で行くな!危ない!
アジトを心配したか新入りに付き合いきれなくなったか、奥へと駆け出して行ってしまったオデッサをあわてて追う坊ちゃん。
大時計を蹴倒し、地下へ飛び降ります。
そこには大量の帝国軍兵士がいて、どっからどう見ても現場は占拠されているようでした。
フリックもサンチェスもハンフリーもいません。
飛び込んでいったオデッサも姿が見えません。
オデッサ!どこ!?まさかもう敵にとっつかまったんじゃなかろうな!どうしよう、この辺の兵士どつき倒せば出てくるか!?おらああああオデッサ返せこの野郎!!!・・・ん?クレオがなんか紋章使えるようになってるだと?かたつむりとの戦いでレベルアップしたせいか!よし、クレオ!その炎の紋章で、こいつら全員焼き尽くしてくれ!!
そこはかとなく荒ぶる解放軍としての底力を発揮しはじめる主人公。
帝国のジッパヒトカラゲどもなど物の数ではありません。ばったばったとなぎ倒し、適当に金を巻き上げ、さらにアジトの奥へと進もうとしたその時です。
「きゃあああああああーーーーーっ!!」
オデッサの悲鳴が響き渡ったのでした。
駆けつけた坊ちゃんの目の前で、オデッサは倒れていました。その前に二人の兵士。
全力で葬り去ります。邪魔。
とっとと失せろ!二度と沸いてくるな!
オデッサ!無事か!?
駆け寄ると彼女はよろよろと半身を起こしました。
そして、
「さ、さあ・・・もう大丈夫よ。出てきなさい・・・」
・・・!
彼女の影には小さな子供が隠れていました。
どうやらオデッサは身を挺してその子を庇ったらしいのです。
早く逃げなさいといわれ、頷いてダッシュで逃げていく子供。
その姿が消えるのを見届けて、初めてオデッサは一声呻いてうずくまりました。
「オデッサさん!血が・・・!」
怪我を・・・してるの?オデッサ。
「オデッサ!なんでこんなことをした。おまえがいなくなったら解放軍は・・・・」
う、うるさいビクトール。解放軍なんか知ったこっちゃないよ。そんなもんなくたってオデッサはオデッサだ。早く怪我の治療を・・・!
「ご、ごめんなさい・・・・・私には・・・・あの子を見殺しにすることができなかったの・・・」
わかってるよ。そんなのわかってるよ。オデッサはそういう人だもん。
「リーダーとして失格ね・・・・とっさに一人の女としての判断を選んでしまうなんて・・・・」
「しゃべるんじゃないよオデッサ。傷口が開くだろ!」
クレオ。それじゃまるで彼女がとんでもない大怪我してるみたいじゃないか。やめてくれよ冗談だろそんな・・・・
「セオ・・・・こっちに・・・・来てくれる?」
何!?
「あ・・・・あなたに・・・お願いしたい・・・ことが・・二つあります・・・・」
声が小さくて・・・切れ切れで聞き取れないよオデッサ。
何だよ!二つだろうと三つだろうと何でも聞くよ!何だよ!
「一つは・・・・こ、これを・・・このイヤリングを・・・セイカの村に・・住む、マッシュという男に・・・渡して欲しいの」
わ、渡すけどさ。でも、でも自分で渡したほうがいいんじゃないのか!?できるだろ!?できるよね!?
「やめろオデッサ。最後の願いなんてバカなことを考えるな!」
誰が最後っつったあああああああ!!!!
誰も言ってねえだろおおおおおてめえが今言ったんだろその口でえええええ!!!ビクトォォォォォォォォル!!!!撤回しろおおおおおお!!!!!
「ビクトール・・・ありがとう・・・でも・・・もう・・・・無理なことは・・・自分でもわかるの・・・・」
何がだよ。何がわかるっていうんだよ!
嫌だよ、こんなイヤリング受け取れないよ!!!
『イヤリングを受け取った』 (チャララーン)
画面と心に1億2000万年の距離ぃぃぃぃぃぃ!!
受け取ってねえって!!!受け取れないって!!!!
「も・・・もうひとつの・・・わたしの願いは・・・・・」
なに!?今度こそほんとに何でも聞く!!
「わたしの・・・体を・・・その水の流れに・・・投げ込んで欲しいの・・・」
聞けねえ。
マジで無理です。勘弁してください。っていうか本当に本当にそれだけはやめてください!!!!
オデッサ!大丈夫だよ!自分旅に備えて「おくすり」めちゃくちゃ買いだめしてあるし!!足りなかったら走っていって買ってくる!!こんな怪我なんてすぐに治るよ!治るってば!!
「オデッサさん!なぜです?そんなひどいことを どうしてしなきゃいけないんですか?」
する方向で話進めてんじゃねえよグレミオ!!!!
お前ちょっと黙ってて!!つーか医者呼んできて誰か!!
「おねがいよ・・・・セオ・・・・」
そんなことできません!!!
この暗い水に君を流せってか!?できるわけないだろ!!できるわけないだろっ!!?
「わたしが死んだことがわかれば・・・・芽生えたばかりの・・・解放運動は・・・・・」
消滅!?だからなんだよ!そんなもんまた種撒いて水やって育てりゃ邪魔になるくらい生えるよ!!
君はいなくならない!死んだりなんかしない!!
「かすかに・・・・生まれた希望を、消すわけに・・・いかないのです・・・・」
どうして!?こんなになってまでどうして一人で全部背負うんだよ!!
せめて・・・・せめて自由になって行けよ!!
絶対嫌だ!ゲームが無限ループしても絶対断る!断固断る!!
「わかったオデッサ・・・・俺がやるよ」
びくとおおおおおおおおおる!!!!
やめろってこの馬鹿野郎!!お前戦闘時は一番スローアタッカーのくせになんでこんな時だけ行動早いの!?
「ねぇ・・・どこかでフリックに・・出会えたら・・・伝えてくれる?あなたの・・・やさしさは・・・いつも・・・いつでも・・・わたしを、なぐさめてくれた・・・と・・・・」
だから自分で伝えろって!人から伝えられてあの男が喜ぶわけねえだろ!!!?
「じゃあ・・・そろそろサヨナラみたい・・・セオ・・・・私の見ることのできなかった・・・自由な世界を・・・」
一緒に見ようよ!・・・・一緒に見ようよオデッサ・・・・っ!!
・・・・オデッサ?ねえ!ちょっと!!オデッサ!!嫌だ嫌だ嫌だ!!!!
嫌だ!!!!!!!!!!
・・・・・・・
・・・・・それからのことはあまりよく覚えていません。つか画面が暗転したのと怒涛の涙で何も見えなかった。それがせめてもの救いだった。オデッサが水に沈むところなんて見たらPSPから何もかも抜いてた。
オデッサ・シルバーバーグ。
調べてみたら享年24歳とのことでした。画面ではもっと幼く見えました。
強い、美しい人でした。