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2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
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引き続きイギリスの料理です。

私は今までイギリスの料理は不味いと思っていました。むしろイギリスに料理は存在しない説を半ば信じていました。
このたび、その偏見が払拭されることを願って読んでいるこの本。
幸い筆者は世界の偏見をひっくり返す気満々です。っていうか、筆者は微塵もイギリス不味いと思ってない、ありのままイギリスの食卓を語ればみんなイギリス料理食べたくなると思ってる、そんな状態です。
そんな状態でありのまま書かれた本文がこれです。

「ジョーンズ夫人は夫の健啖ぶりに目を細めた。この日の夕食は、かたまりのままゆでたハム、バターミルクであえたマッシュポテト、バターミルクを使ったケーキ、トマト3個、それに一切れか二切れの焼きたてのパンである」

・・・・・・・

「夫はおいしかったとか満足したというそぶりは少しも見せてくれなかった。だいたいイギリス人は感情を外に表さないことが多い。しかしジョーンズ夫人は、夫が自分の料理に満足している事をちゃんとわかっている。もしジョーンズ氏が一週間以上も妻の手料理を食べられないはめになったとしたら、彼はいらいらしだすに違いないのだ」


手料理ってどれだ。


夫婦仲がとても良さそうなところ恐縮です。しかし片付けなきゃいけない問題があるんじゃないのか。特にかたまりのままゆでたハムとやらに。

偏見覆すどころか開始半ページでとてつもなく肯定されてしまった・・・駄目押しのように「ジョーンズ夫人の作る料理はそれこそわが家の味そのもの。ここにイギリス料理の真の姿がある」って、筆者お前だからちょっと引いて物事を見ろっつってんだろがあああああ!!「近所のエヴァンズ夫人の料理も大して違いがあるわけでは無い」とかいいから!書かないでいいから!どんどん取り返しがつかない方向に確定されてってるから今!フランス人から見たらたぶんそれ料理じゃなくてサンドイッチの材料って言われる!

・・・一応ですね。弁護すると、この場合の夫人の手料理は、パンを指すようです。決してかたまりのままゆでたハムではありません。
日本人の感覚だとちょっと違和感ありますが、主婦の手料理や思い出の家庭料理にまっ先にあがるのがどうもパンらしいです。

スコットランド名物を並べたという写真も、15品中10品がパン、2品がオートミール、あとはチーズとバターとニシンという構成になってます。
なのでパンは料理のうちに数えない食文化の国々からすると、イギリスに料理は無いことになりますね。

いや、でもまて、これはまだ第1章じゃないか。タイトルは「主婦の手料理」ってなってるけど、訳が間違ってただけでほんとはパンの章なんだろう。
第2章はほら、いよいよ炭水化物でない料理の話だ。タイトルが「日に3度食べたい朝食」。そう、イギリスでも朝食はおいしいって言いますね。筆者も誇らしげに書いてます。1ページまるまる割いてベーコンエッグを力説し、とどめに、

「慌ただしい現代でも、朝の食事をゆっくり味わう余裕がある人にとっては、3度の食事のうちでいちばんおいしいのは朝食である。作家のサマセット・モームは、イギリスでおいしい食事がしたかったら朝食を一日三回食べるのがいい、とまで言ってる」


それ褒めてるんじゃないよ。


ちがうんだよ。サマセットはたぶん、あと二回の食事何とかしてくれって言いたかったんだと思うよ。

・・・この本、イギリス料理の是非はともかく、筆者が可愛くて仕方ない。
なんかもう、イギリス可愛いよ、うん。

パンレシピは素朴ですが、たぶん作ったら美味しいと思います。 そして何より次章の焼き菓子。これは本気で美味そうだ。
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