2007年1月8日設置
サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
ナラタケ曹長。キシメジ科ナラタケ属、食用の美味しいキノコだが、それ以上に林業の大敵。
キノコの数多いエピソードのうち、もっとも魅力的な話を持つのは彼ではないでしょうか。
サクラ、ヒノキなどの広葉樹を攻撃し、凄まじい勢いで枯らしてしまうナラタケ。この「ナラタケ病」により植林が全滅することもしばしばあるとか。
ところが、人工林には猛威をふるう彼も、原生林では大人しく幹にちょんとついたまま枯らすことが無いというのです。
つまり、異質なよそ者だけを排除するんですね。
ナラタケがどうやってよそ者を見分けるかはわかっていません。
なので私見ですが、原生の木は成長過程で色々な菌類に感染しており、それが木の中で相殺・拮抗しあっていて、ナラタケ菌に対しても感染しすぎないように牽制する何かを持っているのではないかなあと思います。
人工の林は雑菌の感染度が低く、数も少なく、それゆえナラタケに抵抗できないのではないでしょうか。
猛威を振るうナラタケも、それ自体は決して感染力が強い菌ではないらしいのです。
そう考えると、生物の多様性というのは生物の内部においても多様である事が大切なのだと、ナラタケが教えてくれている気がします。
考えてみれば、地球とはそもそもこれだけの生物が跋扈する環境ですから、多様性であるのは大前提で、それを排除し過度に清潔に生きようとすることは、地球上に生きる事を自ら放棄する行為なのかもしれません。バランスを崩して生物として脆弱になっていく。そんな気がします。
その生き様で地球の理に近づけてくれるナラタケ曹長。
キノコは本当に魅力的な生物です。
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