忍者ブログ
2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6
ヴェネチア特急編。本当に特急かどうかは知らぬ。

この回、読めば読むほど能力バトル漫画の最高峰なんではないかと思う。要素が贅沢なのに無駄がなく完璧にハマっている。

ザ・グレイトフル・デッドで破壊無しで必要キャラだけ選別し、同時にタイムリミットを打ち出して緊迫感を高める。
ビーチ・ボーイで列車の長さを表現する一方、セックス・ピストルズでエンカウントまでの時間の短縮と、距離によって生じる情報伝達問題を解決する。このおかげで、ミスタが序盤に敵の能力を全て説明しきったのを、中盤以降のブチャラティで二重説明しないで済んでいます。
列車物は外に出ないと折角のスピ―ドを表現できないので普通は連結部か屋根の上が活用されるところ、スティッキー・フィンガーズによって列車の腹という最高に緊迫感あるところに最初っからぶら下がることができ、さらに同能力で外から中に戻る事も容易になって動から静への場面転換をスムーズに行っている。
列車の魅力を見せ尽くした後は急ブレーキで楔を入れて動く舞台を速やかに放棄し、決闘は足場のしっかりした場所でキメる。

鮮やかですよねえ。
シリーズ通してスタンドバトルのベストだと思いますし、数多ある能力バトル漫画の中でも傑作の一編だと思います。

ミスタも、体を張った説明役としてパーフェクトよ。
冷たい飲み物を飲んで老化が遅れる、釣り針にかかって引きずられる、自分にピストルズを撃ちこんでも釣り針の進行を止められないと知らしめる、グレイトフル・デッドの直触りで急速に老化してピストルズ2匹残してリタイアする。どうですこのさっさとやりつくしてさっさと退場しメインに花持たせる、プロの前座っぷり。
そもそもポンペイから駅に向かう車の中でトリッシュのおっぱいがどうのとやらかしていたのもこの回ですよ。
そりゃブチャラティは素敵よ?プロシュートも格好良いよ?しかし損な役回りを一身に背負って働くミスタを私は愛したいわけです。
ナランチャへの、

「お前も少し休んだらどうだ疲れた顔してるぜ……『天井』はオレが見張ってっからよ!オレ、ぜんぜん疲れてねーから!」

とか普通に格好良い台詞じゃないですか。
「オレ、ぜんぜん疲れてねーから!」が特にキュンとくる。
ミスタ優しい。ミスタ強い。駅に着くまでずっと車の後ろを見張っていたのに、嫌な顔一つしないでまだ見張りを替わってあげようなんて。
ミスタこそ疲れていても良いはずではないの?
それが疲れていないのはなんでなの?
たぶんトリッシュのおっぱいチラ見のおかげではないかと私は推測しております。
おっぱいは下手な疲労回復薬より効くと昔どこかで聞いた事がある・・・

あと、序盤は誰よりも率先して色々あわてふためく彼ですけれども、いったん戦闘に入るとIQが爆上がりするのはやはり格好良い。これはジョジョキャラ全員そうですが。
でも「野郎だって『冷やしてる』はずなんだ。我を忘れるほど。大切な『氷』で…」はその中でも相当格好良いと思うんだ…

そして何度見ても大好きなのが、氷をぶち砕かれて焦りまくってるペッシの車両にミスタが入ってくるシーン。

怖すぎて笑う。

ミスタの迫力あるジト目が、窓の外から来るせいでひときわホラーになっている。ペッシが可哀想すぎる。怖かったろうなーこれ。

ペッシを脅すミスタも格好良いし(特に1数えてる時の顔)、頭を3発ぶち抜かれて死なないし死にかけててもまずピストルズをねぎらうし、ヴェネチア超特急編は短い間にミスタの魅力が詰まりに詰まった一作で大好きです。
ブチャラティとの戦闘開始後のプロシュートがひたすらミスタにどん引いているのも好き。

欲を言えばこの戦闘が終わった後、トラックに乗り込むまでに何があったのかが知りたかったですね。
トリッシュとブチャラティどうかしたのか・・・?という空気になってましたけど、そんなことよりよっぽどどうかしてることがあるだろうよ。なあ、ミスタ。

PR
ナランチャがド派手に戦ってしまったことによって隠れ家にいるのはもう危ないと。
どうするどうすると焦る一同。ナランチャを責めるフーゴ、とりなすジョルノ、安定のウザ絡みをしてくるアバッキオ、その嫌な空気をふっ飛ばすように車のリアゲート開けて現れるミスタ。

ミスタ「ブチャラティ………!!『ボス』から、伝言が入ったようだぜ……!!」

3点リーダーの多さにまだ大声出すとお腹痛い可能性を感じます。

ミスタ「ボスはこうやって幹部に命令を送ってくる!どんな人物が送っているのか……逆探知できないからな……。それが初めてブチャラティに送られてきた!!」

ジョルノに継ぐ新入りの割に妙に詳しいミスタ。
なんで初メールなのにそんな自信持って解説できるん。

チーム内に裏切り者を作るつもりだったが廃案にしたという荒木先生のお話で、フーゴが第一候補だったそうですが、個人的にはミスタ裏切りルートも結構ハマったんじゃないかと思ってます。
ジト眼で金が好きで仕事ができて飄々としていて、ミスタが裏切るなら相当クールな感じで裏切ってたんじゃないかと。それはそれで格好良さそう。
ただしスタンドに圧倒感が無いので誰か協力なスタンド持つ奴とタッグを組む必要はある。

ボスからの指令メールは以下の通りでした。

ポンペイの遺跡に行け。
「そこの『犬のゆか絵』のところに
 鍵(キー)がおいてある」

それを見つけろ。
その鍵(キー)は わたしのところまで
娘を安全に連れて来れる
乗り物」の鍵(キー)だ。



このクセ強メールよ…

ツラも指紋もわからなくても文体から人物特定できそうな勢いで癖強い。
「そこの『犬のゆか絵』のところに鍵(キー)がおいてある」
この文だけなんで誰かの台詞みたいに入ってんだ。ここだけドッピオの報告か何かか。
鍵に執拗に(キー)の読み仮名を指定するのもなんでなんだ。


その「乗り物」に乗れば
おまえたちを追う「裏切り者」には
決して見つからずに移動できる。


嘘つけ。


ペッシにも見つかるしプロシュートにも見つかるしベイビィ・フェイスにも見つかるしトラックの運転手にまで見つかったわ。
亀が電車乗ってても目立たないと思える、そんな感性だからあんなイカれた髪で外出歩けるんだ。

…ボスへのツッコミはいいんですけども。

私が好きなのはこのメールを受けて「あそこの『犬のゆか絵』について調べろ!」とブチャラティに言われた時のミスタの反応です。

フーゴが地図を出して開くと同時に、棚から美術書出して開くミスタ。

見たか彼の文化人っぷりを!
凄くないですか?犬のゆか絵がどの本のどこに載ってたか瞬時に思い出して提示できるんですよ。
ミスタは時間があればしょっちゅう本読んでますからね。文武両道たぁこのことよ。
なんでギャングの車の中にこんな格調高めの本あるんだろう。

ポンペイに行くのはフーゴ、アバッキオ、そしてジョルノに決定。
誰もいないポンペイならフーゴが行っても大丈夫だろう、そんなブチャラティの思慮が伺われます。
しかしナランチャを単独でお使いさせてまずいことになったので、今度は複数人で行かせたい。
戦闘ができて元気な奴ならもう手札はジョルノしか残ってないが、パープル・ヘイズを知らない15歳にそのままお供させるのは外道が過ぎる。
それでなんだかんだ面倒見が良いアバッキオつけたんでしょうね。
ジョルノと仲良くなる良い機会かもしれませんしね。
加入からまだ1年にしかならないミスタも「滅多に出さない」と言われるパープル・ヘイズを知っていたのか、ちょっと気になります。

ジョルノ達がポンペイに行ってる間、ミスタはブチャラティやナランチャと留守番をして「トリッシュを守る」ことになりました。
彼らの描写は特に無いんですが・・・

・・・・

ミスタ、めっちゃ家の外の見張りやらされてそう。


ブチャラティはトリッシュの側にいるだろうしナランチャもそこに溶け込めそうだけど、ミスタは入れなそうな気がする。ミスタが来ると話の方向性がデリカシー無くなるからトリッシュが常にも増して黙りこむとかそういう感じになりそう。
美術書を愛し、好きな音楽が「カーペンターズ」であるほどの和やかな趣味の男がどうしてそんなイメージになってしまったのか…

…余談ですが、私はミスタのプロフィールの「好きな音楽」を見た時、もしかしてカーペンターズって私が知らないだけで人殺す歌とか歌うバンドなのかなと本気で疑って調べました。
未だにそんな歌は見つかりませんが、でもわからない。サブスクに載ってないだけかもしれない。

ポンペイ編で不思議なことの1つに、イルーゾォがなんでポンペイにいたのか?っていうのがあるようですね。
ほんとに…なんで、いつ、ポンペイ行きがばれたのだろう?

私が真っ先に疑ったのは、ボスがメール送信ミスったんじゃないかということでした。

あのクセ強メールからはBCCミスってやらかす三十代の臭いがする…
blono.buccelatti@g.passione.ne.it と打つべきところを
bluno.buccelatti@g.passione.ne.it とかやらかして、それが暗殺チームの張ってたダミーアカウントだったりしたのではないか?

でもそれだったら、目的が鍵の入手であることを知らないのは変なんですよね。
同じ理由で、この時はまだプロットにあったであろうチーム内の裏切り者が教えた説もボツになる。ポンペイ行きを教えるんなら鍵のことも教えるよなあ…

金で雇われた街の人々が怪しい車に見を配ってたことも考えられますが、行き先がポンペイだというのが果たしてわかるのかという。

ボスが意図的に情報流したんですかねぇ。暗殺チームを釣り出すために。
一応、裏切り者を一週間で全員片付けるつもりだったようですからね。
全ての戦闘でブチャラティチームが勝利したのでわかりませんけれど、もしこちら側が負けて暗殺チームが勝ってたら、そいつは次の瞬間ドッピオに殺されてるみたいな未来があったのかもしれません。
「そこの『犬のゆか絵』のところに鍵(キー)がおいてある」
やっぱあれはドッピオの報告だったんじゃね?
あいつこそ鍵置きに来てそのまま離れた柱の陰から見てたんじゃね。


ポンペイでのイルーゾォ戦は、パープル・ヘイズのインパクトに9割持って行かれます。
誰もイルーゾォにびびらない。鏡の世界なんて怖くない。
むしろカラスが落ちて来たあたりから明らかに元の世界に戻る方がやべえという雰囲気が醸しだされている…
カラスの死に様にどん引きしているイルーゾォの顔が私は大変好きです。

また、マン・イン・ザ・ミラーはスタンド紹介の顔が不気味すぎて苦手だったんですが、ウイルス感染したジョルノを引っ張り込んでしまった時の

「………………………」

と、パープル・ヘイズ相手に最後超頑張ったけどダメに終わるのが凄く可愛くて、今はかなり好きになっています。
パープル・ヘイズはさ、見た目ものっそ強そうだし格好良いしでさ、マン・イン・ザ・ミラーがなんかとっても可哀想なのよ。スタンド界ののび太に見える。


次はいよいよヴェネチア超特急です。ミスタがミスタる回だ。

ミスタの本領発揮、サーレー戦です。

カプリ島で既に待ち受けているに違いないズッケェロの「仲間」を、誰かが船に先んじて島に渡って叩く…
というジョルノの案に、一人賛成を示してくれたのがミスタでした。

ミスタ「その魚はよォー、何人までひっぱれんだジョルノ。おれも行くぜ

…これずるいなーと思うんですけど、ここまで割とえげつないふるまいしてきたやべー奴でも、主人公をいち早くスタンドごと受け入れてくれたという一事をもって全てチャラになりますよね。読者心理的に。
「おれも行くぜ」が大文字だもん。こんな見せ方されたらミスタすっごい良い奴!ってみんな思ってしまうと思うんですよ。騙されるな。

ミスタ「おれのスタンドは『暗殺向き』だ。こうゆーのには向いてるからな」

この1年で何人殺してきたのかミスタ。
「こうゆーの」な状況そんなにあったのか。
良い奴なのかもしれないけれどもやべー奴であることも間違いない。
ミスタはそんな男なんですが、しかし一方で、ジョルノも彼以上に暗殺向きです。

結局ですね、チンピラやって殺人やって反省なしでギャングインしてきたという共通点からしても、この二人は似た物同士なんですよ。
後々ベストパートナー化するのも当然の成り行きだったと言えましょう。

暗殺の精神を持った二人、カプリ島まで泳いで渡る。
…目立つんじゃね…?
服着た男二人と銃やら無線機やらを引っ張らされた魚はだいぶ頑張った。
「ヨットから泳いでくるのにけっこう時間がかかりました」とジョルノが小さくぼやくが、その原因の一つはミスタが昼食運んだからだと私は思っています。
「何人までひっぱれんだ」って気にしてた割にだいぶ余計なもん引っ張らせるじゃねーか。

私は想像するんですよ・・・
このジョジョ5部の中でも屈指のインパクトシーン「スタンドに飯を食わせる」を見た時のジョルノの不安を。

だってね?「何人までひっぱれんだ」って聞かれたジョルノはたぶん、「そうですね3人くらいは」とか答えたんだと思うんですよ。
そうしたらミスタが、じゃあちょっと持って行くもんあるからよォーとか言って、船室ごそごそやって、ビニール袋になんか詰めて来たと。
当然ジョルノは思ったでしょう、ああミスタさんは向こうについてから敵を見つける計画があるんだろうな、と。

それが上陸するなり、袋からテーブルクロスにパンと肉とワイン出して食事始めたんです。

不安と怒りで全部ナメクジに変えてやろうかなってなりますよね普通。

「ビニール袋から『無線機』出してな!」と言われた時、ジョルノはどんだけほっとしたことでしょう。良かったね。ちゃんとしたものも入ってたね。

で、その後、無線小屋のサーレーを撃ってからのこのやりとりが私の大好きシーンです。


銃声に驚くその辺のオッサン「おまえッ!い……今の音は、な…なんだ!?」

ミスタ「銃声だよ!」

ミスタ「何か気にでもさわったか?映画みたいにでかい音じゃあなかったはずだが。でももし気にさわったんならよ……………今忙しいんでよォ、苦情は後で聞いてやるぜ!」


格好良い。最高に格好良い。
へらっとした立ち姿でヘソの前で「ほらよ」みたいに銃見せる、このポーズもたまらん。
「もし気にさわったんならよ」の次にだいぶ間が開くのが、特に何も思いつかなかった感あって愛嬌に溢れている。
そして聞いてやると言った事など3分後にはきっともう確実に忘れている。
ミスタの魅力が詰まったディ・モールト・ベネなシーンだと思います。

それからこの後小屋の中に入って、ぴょんぴょん跳ねてくるピストルズをねぎらうんですけど、ねぎらいながら彼らを乗せてやろうとしてる左手がまた良いんですよ。
ピストルズ、宙に浮けるはずなのにミスタの手に乗っかりたいんだなっていう。
亀もジャストフィットしてたしミスタの左腕はよっぽど居心地良いんでしょうね。小動物にとって。

つうかミスタメイン回だけあって、全てのコマのミスタが格好良いんだわこの回。
全コマ語る勢いだわ。それはさすがにどうかと思うんで巻いて行きます。

トラックに目星つけるミスタ。格好良い!
「6億とブチャラティのためだッ!」で走りだしたトラックにとりつくミスタ。格好良い!6億が先!
怪我の有無から運転手はダミーだと見抜くミスタ。いや普通に格好良い!
頭に銃弾くらって死なないサーレーに動揺するミスタ。そんなミスタも格好よ…

ミスタの思考「なんでくたばらねーんだ、ど頭にくらったのによ!」

…再読以降、お前が言うなとしか思えなくなった台詞ですが、この頃のミスタはまだ頭に3発食らう前だからまともな体してたのかな…

いやむしろサーレー戦で弾が頭に多少めり込んだり腹を貫通したりしても死ぬほどのことではないと学んでしまったのかもしれない。気は心という。ミスタは誰よりも気は心なところある。

クラフト・ワークの「固定」能力にやや焦るも、ノータッチ装填をキメて高速撃ちでサーレーをふっ飛ばし事なきを得るミスタ。
この時サーレーが、

「一撃で2発『発射』だと!これが!これがミスタのスタンドかッ!」

って言ってるんですが、そこは本体の性能だから。スタンド関係ない。ピストルズがやったのはそこからの弾丸軌道変化だけな。
ノータッチ装填からどう見ても人間業じゃないしスタンドのせいにしたい、その気持ちはわかるけれども。

この回はトラック運転手とのやりとりも良いですよね。トラック止めろと言ったり止めるなと言ったり楽しい。
屋根の上から拳銃見せて脅しながら

ミスタ「おれはおまえに危害は加えねえし連れてってくれりゃあ礼もする」

と言ってるコマが特に好きです。
礼をすると言った事など絶対3秒後には忘れてると思う。
スプライトの金さえ払わない男が礼とかするわけねぇ。

で、戻ってきたサーレーに腹を撃ち抜かれ、しかしそれは弾が4発だったせいであって敵が強いからとかではない事になり逆にあと一発になったんだから大丈夫と気を取り直して駆け引き開始。狙ったところにその一発をきっちりぶち込む。
この一連の流れのミスタの肝の据わりっぷりも格好良いですね。
ぶち込んでおいて、「…とはいえそれでも不死身っつーんならしゃあねーが」となるようになれな台詞を沿えるのも飄々としてて好きです。

さすがにサーレーは戦闘不能になりました。が。

ミスタ「お…しかし生きてるぞ。こいつはまじに不死身のスタンドだな。脳ミソにくい込んでギリギリ生きてるぜ…」


いや、お前もだから。

再読以降はほんとそれしか思えなくなった。これから数日後のお前がまさにそれだミスタ。

港に戻って彼がトラックを降り、入れちがいにジョルノがトラックに乗って運ちゃんを脅すオチでサーレー戦は終わります。

この後どうやってミスタとジョルノは合流できたのか、腹に穴開けたミスタにジョルノはなんと声をかけたのか、役立たずのジョルノにミスタは文句の一つも言ったのか、ヨットから島まで魚作って渡って来れるんなら馬作って追いかけてくるぐらいできるんじゃねーのかよぐらいは言ってもバチは当たらないのではないか、色々知りたい事は残りましたが、サーレー戦はミスタを堪能できていいなあと思いました。

よし。だいぶ巻けたな。
アバ茶の洗礼が済んで、物語はズッケェロ戦に入ります。

どっかしらからチャーターしたのか盗んだのかのヨットに乗って一行は海をゆく。
その冒頭でナランチャのラジカセをぶっ壊すミスタ。

このシーンが私はもう大好きでね…

手口が鮮やか過ぎる。流れるようにさり気なくラジカセを破壊する。


ナランチャにスプライトをもらう

缶を開けるために「ちょっとこの本持っててくれ」とナランチャに渡す

缶を開ける

「ありがと…いやありがと……」としきりにお礼を言いながら本を受け取り、その本の陰に隠してスプライトをラジカセにぶっかける


あまりに鮮やかすぎて元ネタは何の映画なんだとすら思いますが、ミスタは町のチンピラしてたにしても相当できるチンピラだったはずですよこれは。
観光客の財布掏るとか女の子の服にゴミくっつけて取ってあげる体でナンパするとか、絶対やってたと思うわ。

ただ、優しいなあと思うのは、ナランチャに「うるさい」と一言も言わないところですよね。
これね、壊すぐらいなら言ってやれよという人いますけど、絶対そっちの方が揉めてめんどくさいことになるじゃないですか。
騒音問題は言っても解決しない。ミスタはその事をよく知っている。なぜなら寝てる時にギターの練習をしてくる学生を隣人に持ってるからだ。

プロフィールの「嫌いなもの」にあげてるくらいだもの、ギター騒音解決してないんだろうなあ…
ピストルズ使えば完全犯罪で黙らせることもできように、罪のないカタギには手を出さず耐えてるミスタは偉いと思います。

彼はもう嫌だったんです。のんびり本読んでる時に横でシャカシキシャカシキされるのも、機嫌の良いナランチャに水差して揉めるのも。
だからラジカセにそっとスプライトを差しただけなんです。

そしてそれがスプライトだとバレる前に、「おいブチャラティ!いいかげんよーっ、この船どこに向かってるのか教えてくんねーかよーッ!」と大声で振ってナランチャの注意をラジカセから引き離す。
チンピラの才能が果てしない。


ズッケェロ戦に入ると、まずナランチャが行方不明になってリタイア。
ナランチャがふざけてるんじゃないかと疑ったミスタも行方不明になってリタイア。
ミスタがふざけてるんじゃないかと疑ったフーゴも行方不明になってリタイア。

この順番いいですよね。フーゴから行ってたら誰もふざけてるなんて思わなかったんじゃないでしょうか。ナランチャ→ミスタ→フーゴの順だったから3人も芋づるで犠牲に。
おそらく先のラジカセのやりとり等でやるならこの順と踏んだのであろうズッケェロの観察眼を褒めるしかありません。

さらにアバッキオのうざ絡みに嫌気が差したジョルノが、めんどくさいなぁもうじゃあ後はあんたがやってくださいよと言わんばかり先輩に全てを丸投げして自発的リタイア
大人しそうな顔と言動をしながらやること全てがパンクな男、ジョルノ・ジョバァーナ。
5部の主役は間違いなく彼です。

見た目よりはるかにしたたかな性格してる新入りに事実上丸投げされた事に気づかず、良い方に受け取って感銘を受けてるあたりがアバッキオはギャングに向いてないと私が思う所以なんですけども、ともあれ先輩はブチャラティとの二十歳コンビで見事ズッケェロの謎を看破。無事に勝利となりました。


で、ここからがみんな大好きズッケェロ拷問シーンです。


もうね・・・


ミスタのジト目が心底好き。


ナランチャ、フーゴ、アバッキオの三人が怒りにまかせてズッケェロのボディをボコボコ蹴ってる中、一人だけ静かに船室から拷問道具を見繕って眼球に狙いを定めて行く男。
仲間がいるだろうから吐かせなきゃなあと思い、その手段としてまずは眼を一つずつ焼こうと考える、これは生粋のギャングスタですわ。
一年前までセコいチンピラしてた男が一体どこでこんなにまで脱皮したのか。
ブチャラティの指導だけじゃこうはならんだろ。
釣針と眼鏡で眼を焼こうなどという独創性はミスタ特有というか、たぶん元々芸術肌なんですよ彼は。
眠ることを楽しみ、朝日の中の木の枝や雲の動く様子を見て楽しみ、ワインの香りを楽しみ、チーズをかじる事を楽しむ男。
なんか知らんが彼だけ食の好みがナポリではなくトスカーナ地方ですし、実家はもっと北の方で親は絵描きでもしてんじゃないかと私は・・・
芸術の素養があるからこそローリング・ストーンズに妙に懐かれたりしたんじゃないかな。
それに芸術って好奇心の為なら教会の目盗んで死体掘り出してバラすようなジャンルでもあるわけで、善悪の垣根もちょっと社会と違いますから、そういうのもミスタの平常心のまま人殺しにシフトする感じに重なるような気がします。

ミスタ「選らばねーとよォーー、両方使っちゃうぜッ!!オレはよォーーーッ」

いいよね…ジト目無表情のままこれ言うの。

ミスタ「もう片方の目の心配もしていた方がいいなあああ~~~~ズッケェロさんよォォォ~~~~」

このコマとかもう正義側の雰囲気じゃないからね。
4部と6部のボスと同じ眼してますよ。おかしくないか。

芸術的に敵の首を吊るし、眼を焼き、その横でダンスを踊りながら脅しをかける。
ここまででも十分スゴ味がある。
しかし。

ミスタの真のスゴさはここからだ。


アバッキオのムーディ・ブルースでズッケェロが「仲間」にこちらの行き先を喋ってしまったのが明らかになった後。


ナランチャ「誰なんだ?この男は誰なんだよォ―――ッ!」
ミスタ「何としても!この野郎に今の男の正体をゲロさせてやるぜッ!」



拷問のレベルアップ宣言。


どんだけ引き出しあるん・・・?
「何としても」が怖いよ。ブチャラティが止めなければ何をするつもりだったんだよ。
眼ん玉潰したなら次はもう金ン玉しかないと私は思うが、果たしてミスタがそこまでエスカレートした場合、仲間は引かずに応援できるのだろうか。


船って他にどんな物が乗ってるんですかね。
ちょっと思ったシーンでした。


ミスタのお薦めシーンを語っていきたい。
最初から順に。

まず初登場のジョルノが紹介される回。アバ茶の回と言う方が圧倒的に伝わり易いんですけれども、ミスタはイチゴケーキが食いたいのに4つなので焦れています。
もうこの段階からジョジョを読まなければ意味がわからない文章になってしまった・・・

しかし、まずここの焦れ方がミスタの性格の良さを醸しだしていると私は思うんですよ。

ケーキは4つです。
テーブルにいるのはミスタ、アバッキオ、ナランチャ、フーゴの4人なので店が4つ持ってくるのは当たり前なんですが、4が嫌いなミスタは気に入らない。店が気を利かして数を変えるべきだと怒っています。

ミスタ「こーゆー場合はレストランが気をきかして3コにすべきなんだ……!!」

5個にすべきと言わない硬派なギャングスタ・ミスタ。
カタギにタカるつもりはない。ただ本当に4を避けたいだけなんだ。
難癖つけてるようにしか見えないシーンですが、彼なりの店への配慮は確かにあるのです。

荒木先生も凄いですよね、5じゃなくて3にすることで、ミスタという人は下心も何もなく骨の髄からわけのわからない何かにとりつかれているんだなってわかりますからねここ。

で、そのあとジョルノが紹介されてアバ茶をどうぞという流れになり、ひるむジョルノにミスタが意地悪を言います。

ミスタ「仲間になりたくねーから、飲みたくねーんじゃねーの?」

…アバッキオもミスタも、なんでいきなりこんなに排他的なのか。一目で反感持たれるような何をジョルノがしたというのか。自分らよりずっと年下の少年に意地の悪い真似をするなんて、恥ずかしくないのかいい歳して…

って思ったんですけど、待て
自分らよりずっと年下の、さして人生に傷ついている風でもなく、見た目も人好きのする15歳の少年が「ギャングになりたいです」って入ってきたら、それはまずいったん追い返すわな本人のために。いい年した大人だからこそだよ。アバッキオ、あんたはやっぱり警官だ。

ミスタがそこまで考えてるかはわからない。あいつはギャングを悪い職業だと全然思って無さそう。
しかしアバッキオはそこまで考えてくれる人な気がする。だからこそ二十歳にもなってあんなしょうもない体の張り方をしたんだという気がする。

ジョルノを仲間入りさせることは事前にブチャラティが話をしていたみたいですけど、この様子見るとまず間違いなくアバッキオは反対しましたよね。
だってナランチャよりも2つも年下だぜ?ナランチャだってギャングにするの傷ましいのに、それより下のガキ増やしてどうすんだ。入る前から堂々と3人殺して反省してないミスタとは違うだろう。未来ある少年なんだろう。
なのにブチャラティが連れて来てしまったと。
だったらもう、やるしかないと。

そういう事だったのかもしれない・・・深いなーあのお茶。
ミスタはなんの深みもなくノッただけそうだけども。

けれどもアバッキオのそんな深い思慮があったかもしれないお茶を、ジョルノはクリアしてしまいます。このためだけにこの世に生を受けたクラゲに幸あれ。

驚きでどん引き気味に盛り上がる一同。その中で爆笑しつつ、

ミスタ「本当に飲んだのかッ!教えてくれよ、オレにだけ、な!教えろよ」

と身を乗り出すここのミスタが超好き。
それを言いたかった。今回は。

あんな意地悪言っといて、見事に掌返して自分だけ仲良くなろうとするお調子者っぷりよ。可愛すぎる。
「オレにだけ」って、意味わからなくてすごく良いわ。なんでだよ。
逆に、誰に教えたくないのか?
ミスタだけ知ってて他知らない、その場合にミスタが優位に立てる相手って、アバッキオだと思うんですけども。仕掛けた本人が一番気になるはずだもんな。
なんだ。ミスタはアバッキオに何か含むところでもあったのか。

なお、仲間の名前呼びカウントではミスタ⇔アバッキオ間も異常値が出てまして、
ミスタ→アバッキオ 5回
アバッキオ→ミスタ 2回
となっております。
ミスタは他の仲間は全員2桁回数呼んでるのにアバッキオだけ5回しかない。そしてアバッキオもトリッシュ以外は2桁、トリッシュでさえ7回呼んでるのに「ミスタ」は2回。
見えない溝でもあるのかこの二人。
食事中のミスタのデリカシーの無い話をちゃんと聞いて相手になってくれるアバッキオなのにな…

「オレにだけ」。色々考えさせられる台詞ですが、とりあえず、好きです。

[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6

Copyright © 『日記』 All Rights Reserved

Template by ゆうじ

忍者ブログ [PR]