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2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
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幻冬舎新書「植物はなぜ毒があるのか」を読んでいます。

植物の作りだす様々な毒について紹介する本で、食中毒事例だけでなく、毒から転じた薬効や除虫効果などにも言及している非常に面白い一冊です。直近2019年の事例まで載っているのも良いです。

想定外だったのは、キノコについては「あいつら入れるとキリが無いですから」と言わんばかり本書の対象外としている点で、キノコの食中毒のような食う素人が悪い案件よりも、ジャガイモ・水仙・イヌサフラン等、毒性が知られていないために警戒されず起こる植物の中毒をメインにしているのでした。菌類は植物でもないしみたいな雰囲気も若干感じられます。
藻類は今回ギリ植物に入れさせてもらう反論は受けつけない的な一文もあり、素人には何のためかよくわからない予防線を張っているところ、あっちの世界にも色々面倒があるのでしょう。

キノコが無いのは残念ですが、しかしそこを差し引いても読みやすく面白い本です。

ジャガイモが小学校の調理実習で毎年集団食中毒を起こしていること、水仙がニラと間違えて食われること、イヌサフランがギョウジャニンニクと間違えて食われること、スズランがギョウジャニンニクと間違えて食われること、バイケイソウがギョウジャニンニクと間違えて食われること等、とりあえずギョウジャニンニクが黒幕ではないかと思わせる記述や、「ハシリドコロの『走り』とは、この植物の持つ有毒物質によって中毒すると、幻覚症状で泣き喚きながら走りまわったりすると言われることにちなみます」というそんな恐ろしい名前だったんかいという豆知識も豊富で、筆者の植物愛がひしひしと感じられます。

とはいえ、キノコに縁のものであれば傘からはい出してきたウジまで愛おしむ菌類系、虫を食わない人間より虫を食う人間の方がはるかに上位の種であると信じて疑ってない虫食系に比べるとまだだいぶ常識的(な人が書いてそう)な内容で、安心な一冊と言えましょう。

なお、タイトルにもなっている「植物はなぜ毒があるのか」のテーマについては「多くの植物は、動物に食べつくされないために、また、病原菌に感染しないために有毒な物質を身につけています」本書開始の1文で終わらせており、実際の内容は「植物にはどんな毒があるのか」になっています。
個人的にはこの説はちょっと違うのではないかと感じていて、そこを深めたいがためにこの本を買ったので、いきなり簡単に片づけられたのは若干誤算ではありましたが、面白いからまあいいやもう。

自然って良いですね。
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