2007年1月8日設置
サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
さて、私がインド家庭料理の本と同時に購入した本がもう一冊ありまして。
それが「世界のスープ図鑑」です。
世界各国317種のスープが掲載されているスープレシピの図鑑。
自炊者の夢の一つに「毎日違うスープを作れたら捗るだろうなあ」というのがあると思います。正にそういう人に向けた365日分の実用レシピが載った本も世の中にはありますが、繰るページ繰るページ何か似たようなものばっかりが並んでいて作る前に飽きた人もいるでしょう。私のように。
だってさ、そんなんだったら結局、毎日味噌汁の具だけ変えとけばいいって話じゃん。
そう、長くつきあうためにはレシピ本と言えども面白さが無ければなりません。
まあ!そんなスープがあったなんて!という驚きが必要なのです。
そこへ行くとこの「世界のスープ図鑑」は、Amazonレビューで「材料が入手できないものが多く実用には不向きです」と太鼓判を押されており、驚きの宝庫といえるでしょう。
買いです。
というわけで手元に届いたこの一冊。
材料が入手できないとしても、世界中の美味しいスープを一望できるというだけで楽しいです。いくつかは作れるものもきっとあるはず。己のスープのレパートリーを広げて豊かなステイホームライフを送りましょう。
第一章は西ヨーロッパ、栄えあるトップを飾る国は!
「イギリス」ブリティッシュ・オックステール・スープ
おまえかい!!
この本に対する私の期待が9割下がった瞬間でした。
いやもちろん、世界のスープ図鑑だもの、イギリスが入っててもおかしい事はないですよ?
しかしトップに出張らせるか普通。
そのまま立てつづけにイギリススープ8種も載ってるし。その後のアイルランドの2種入れたらあの島で10種だし。なんなの。
ちなみにアイルランドの2つめのスープは「ギネス・スープ」でその名の通りギネスビールに具材を入れて作るスープなんですが、次のページからドイツのターンが始まりまして、開始早々「アイルランドにギネスのスープがあるのだから、当然ドイツにもビールを使ったスープがある」とスープ本来の足場を完全に踏み外した世界で張り合っています。
まだ317分の11ページ目でこの有様よ。なんなんだお前ら。
筆者は米国在住の日本人。改めて「まえがき」に戻ってその述懐を読み直します。
「この本を書くにあたって350種を超えるスープを作り、食べた。一口食べて『うまい!』と一言発し、気が付くと食べきっていたと言う時もあれば、『こんなもんかなぁ』とか『ちょっと変わってるなぁ』とか思いながら数回スプーンを口に運んで終わってしまったものもないわけではない。でも『これはまずいわ』と顔をしかめたものは、正直ひとつもなかった」
その『こんなもんかなぁ』の方の感想と行動、私が以前アイリッシュシチューを作ったときと完全に一致するんですがそれは。
私が躊躇なく「まずい」に分類したあの感じを、この人はただ心優しい性格だったから言葉を差し控えただけなのではないでしょうか。
待て。それとも私がイギリスへの偏見を持ちすぎなのか。かつてイギリス料理の本で二つ三つ酷い目にあったからといって、それがイギリスの全てでは無いはずだ。
ここに載ってるスープは本当に美味しいのかもしれん。
ブリティッシュ・オックステール・スープは、大して煮出してもいなさそうな野菜を途中で全部廃棄するあたりに疑惑を覚えるが、他のレシピ、そう他のレシピを見てみよう。
■ロンドン・パティキュラー
「ロンドンを舞台にした映画を見ると、霧に包まれた幻想的な光景に目を奪われる。でも実はそんな美しいものなどではなくて、工場などの煙突から噴き出す煙が充満したスモッグなのだ。このどんよりしたスモッグまみれの霧をロンドン・パティキュラーと呼ぶ。ひどい名前がついたスープだとは思うが、実際に作ってみるとその色といい濃度といい、この名前がぴったりのスープなのである」
なのである、じゃないよ。
このまるで不味そうな説明からなんの逆転も無く決着しといて、どのあたりを得意げに「なのである」だよ。
不味いんじゃないのか?不味いよねこれ?
「でも、ロンドンの人が愛するおいしいスープであることは保証つきである」
誰の保証よ。
ロンドンの人の保証か?
前もそうだったけど、イギリス料理ってイギリス人の保証しかついてきてない気がする。気のせいか?
大丈夫なのかこの本。ちゃんと美味しいレシピ載ってるのか?
西ヨーロッパ章は他に・・・ドイツの次にオーストリア、ベルギー、オランダ、スイス、あとはフランスか。
フランスはさすがの貫録で初っ端の栗のポタージュからだいぶ美味しそう。「うちはビールを鍋にぶちまけるようなことはしませんが?」と言わんばかりに控えめなコニャックで具材を炒めブイヨンで煮込んでいる。作るの大変そうだけども正直これは食べてみたい。
なるほど。出だしイギリスで読者をひるませておいてから真打フランス登場で一転安心度を高めると言う、そういう流れね?確かにトップかトリかと言ったらフランスは断然トリに置く方が良・・・
と思ったらその後に大トリでジャージーいたよ。
※ジャージー:イギリス海峡に浮かぶイギリス王室属領の島。
なに・・・?
この本はガチでイギリス推しなの・・・?
ジャージー1種しかないけど、なんでこれイギリスやアイルランドの次に入れないでフランスの後に入れたの・・・?
ジャージーからのスープは「ラ・スップ・ダンジュール」。大型アナゴを使ったスープです。
この魚自体は美味しいものだというので、そんな大間違いはしなさそうな気はするんですが、レシピを気をつけて読んでみると、材料として用意したはずの塩・適量を入れた形跡が一切無く、これそのまま作ると味無いぞ。大丈夫か。
塩は食卓で入れろと言うことなんですかね・・・イギリス式・・・・?
「本当に美味いしい料理なのか」と「レシピは本当に正確なのか」。二重の致命的な不安を抱えた「世界のスープ図鑑」。
第一章西ヨーロッパだけでもだいぶ読み込み甲斐があります。お薦めです。
それが「世界のスープ図鑑」です。
世界各国317種のスープが掲載されているスープレシピの図鑑。
自炊者の夢の一つに「毎日違うスープを作れたら捗るだろうなあ」というのがあると思います。正にそういう人に向けた365日分の実用レシピが載った本も世の中にはありますが、繰るページ繰るページ何か似たようなものばっかりが並んでいて作る前に飽きた人もいるでしょう。私のように。
だってさ、そんなんだったら結局、毎日味噌汁の具だけ変えとけばいいって話じゃん。
そう、長くつきあうためにはレシピ本と言えども面白さが無ければなりません。
まあ!そんなスープがあったなんて!という驚きが必要なのです。
そこへ行くとこの「世界のスープ図鑑」は、Amazonレビューで「材料が入手できないものが多く実用には不向きです」と太鼓判を押されており、驚きの宝庫といえるでしょう。
買いです。
というわけで手元に届いたこの一冊。
材料が入手できないとしても、世界中の美味しいスープを一望できるというだけで楽しいです。いくつかは作れるものもきっとあるはず。己のスープのレパートリーを広げて豊かなステイホームライフを送りましょう。
第一章は西ヨーロッパ、栄えあるトップを飾る国は!
「イギリス」ブリティッシュ・オックステール・スープ
おまえかい!!
この本に対する私の期待が9割下がった瞬間でした。
いやもちろん、世界のスープ図鑑だもの、イギリスが入っててもおかしい事はないですよ?
しかしトップに出張らせるか普通。
そのまま立てつづけにイギリススープ8種も載ってるし。その後のアイルランドの2種入れたらあの島で10種だし。なんなの。
ちなみにアイルランドの2つめのスープは「ギネス・スープ」でその名の通りギネスビールに具材を入れて作るスープなんですが、次のページからドイツのターンが始まりまして、開始早々「アイルランドにギネスのスープがあるのだから、当然ドイツにもビールを使ったスープがある」とスープ本来の足場を完全に踏み外した世界で張り合っています。
まだ317分の11ページ目でこの有様よ。なんなんだお前ら。
筆者は米国在住の日本人。改めて「まえがき」に戻ってその述懐を読み直します。
「この本を書くにあたって350種を超えるスープを作り、食べた。一口食べて『うまい!』と一言発し、気が付くと食べきっていたと言う時もあれば、『こんなもんかなぁ』とか『ちょっと変わってるなぁ』とか思いながら数回スプーンを口に運んで終わってしまったものもないわけではない。でも『これはまずいわ』と顔をしかめたものは、正直ひとつもなかった」
その『こんなもんかなぁ』の方の感想と行動、私が以前アイリッシュシチューを作ったときと完全に一致するんですがそれは。
私が躊躇なく「まずい」に分類したあの感じを、この人はただ心優しい性格だったから言葉を差し控えただけなのではないでしょうか。
待て。それとも私がイギリスへの偏見を持ちすぎなのか。かつてイギリス料理の本で二つ三つ酷い目にあったからといって、それがイギリスの全てでは無いはずだ。
ここに載ってるスープは本当に美味しいのかもしれん。
ブリティッシュ・オックステール・スープは、大して煮出してもいなさそうな野菜を途中で全部廃棄するあたりに疑惑を覚えるが、他のレシピ、そう他のレシピを見てみよう。
■ロンドン・パティキュラー
「ロンドンを舞台にした映画を見ると、霧に包まれた幻想的な光景に目を奪われる。でも実はそんな美しいものなどではなくて、工場などの煙突から噴き出す煙が充満したスモッグなのだ。このどんよりしたスモッグまみれの霧をロンドン・パティキュラーと呼ぶ。ひどい名前がついたスープだとは思うが、実際に作ってみるとその色といい濃度といい、この名前がぴったりのスープなのである」
なのである、じゃないよ。
このまるで不味そうな説明からなんの逆転も無く決着しといて、どのあたりを得意げに「なのである」だよ。
不味いんじゃないのか?不味いよねこれ?
「でも、ロンドンの人が愛するおいしいスープであることは保証つきである」
誰の保証よ。
ロンドンの人の保証か?
前もそうだったけど、イギリス料理ってイギリス人の保証しかついてきてない気がする。気のせいか?
大丈夫なのかこの本。ちゃんと美味しいレシピ載ってるのか?
西ヨーロッパ章は他に・・・ドイツの次にオーストリア、ベルギー、オランダ、スイス、あとはフランスか。
フランスはさすがの貫録で初っ端の栗のポタージュからだいぶ美味しそう。「うちはビールを鍋にぶちまけるようなことはしませんが?」と言わんばかりに控えめなコニャックで具材を炒めブイヨンで煮込んでいる。作るの大変そうだけども正直これは食べてみたい。
なるほど。出だしイギリスで読者をひるませておいてから真打フランス登場で一転安心度を高めると言う、そういう流れね?確かにトップかトリかと言ったらフランスは断然トリに置く方が良・・・
と思ったらその後に大トリでジャージーいたよ。
※ジャージー:イギリス海峡に浮かぶイギリス王室属領の島。
なに・・・?
この本はガチでイギリス推しなの・・・?
ジャージー1種しかないけど、なんでこれイギリスやアイルランドの次に入れないでフランスの後に入れたの・・・?
ジャージーからのスープは「ラ・スップ・ダンジュール」。大型アナゴを使ったスープです。
この魚自体は美味しいものだというので、そんな大間違いはしなさそうな気はするんですが、レシピを気をつけて読んでみると、材料として用意したはずの塩・適量を入れた形跡が一切無く、これそのまま作ると味無いぞ。大丈夫か。
塩は食卓で入れろと言うことなんですかね・・・イギリス式・・・・?
「本当に美味いしい料理なのか」と「レシピは本当に正確なのか」。二重の致命的な不安を抱えた「世界のスープ図鑑」。
第一章西ヨーロッパだけでもだいぶ読み込み甲斐があります。お薦めです。
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