THE ALFEEの「木枯らしに抱かれて・・・」は、まだ全体の1%程度しか聞いてない私が今言うのもなんですが、高見沢さんの最高傑作のひとつなんではないかと思っております。
最初に聴いたとき、身に覚えが全くないにも関わらずせつない片思いしてるような気がして泣いた。
あれから毎日朝も夜も聴き続け、今日も通勤時に聴きながらいつのまにかBluetooth切らしてたくらいのものだ。無線に裏切られるの何度目だよ。
美しい歌ですよね、これほんと歌詞もメロディーも。
高見沢さんの歌詞って良くも悪くも青臭みがあると思うんですけど、この歌は臭みがない。
小泉今日子に提供した「木枯らしに抱かれて」も、セルフカバーの「木枯らしに抱かれて・・・」も、坂崎さんがTVでリードボーカルやった版も他の人のカバーも片っ端から聴いて、今一番好きなのは高見沢さんのセルフカバー版ですかねえ。
誰が歌ってもそれぞれ良いのよ。その日の気分でどれが響くか決まりますね。
ただ、聴いてるうちに、この歌詞の不思議さに色々と考えさせられてきました。
なので、この場でちょっと細かく歌詞を追ってみたいと思います。
「木枯らしに抱かれて」と「木枯らしに抱かれて・・・」で歌詞が少し異なりますが、後者をもとに検証します。
出逢いは風の中
恋に落ちたあの日から
気づかぬうちに心は
あなたを求めてた
ここまでは歌詞は至って普通。イントロからメロディーが美しすぎることを除けば。
このイントロがね、セルフカバー版のが好きなんですよね私。
泣かないで恋心よ
願いが叶うなら
涙の河を越えて
すべてを忘れたい
せつない片想い あなたは気づかない
ここ最高に好き。泣かないで恋心よのところで泣かされる。
セルフカバー版の、当時の高見沢さんの一生懸命な高音がすっごい刺さるんですよここ。
で、素晴らしい一方で、特別な言葉は使われていないんですけど、普通そうで普通じゃない歌詞だと思います。
だってすごく恋してる人がよ?願い叶うならっていう前提で、相手を自分のものにしようとしないで逆に忘れようとしてるんですよ?普通じゃなくない?
しかも今すぐ忘れたいんじゃなくて、辛い思いをさんざした後に忘れたいって言ってるわけでしょ?不思議じゃない?
だから、この主人公はよほどの禁断の恋をしてるのかなって思うんですよ。
で、禁断の恋って言うとまあよくあるのは相手が既婚者だったとかですけど、歌詞下っていくとどうもそうでもなさそう。
あなたの背中見つめ
愛の言葉ささやけば
届かぬ想いが胸を
駆け抜けてくだけ
この距離感の出し方上手いですよね。姿じゃなくて背中なんですよ。だからすごく遠くから見てるわけではない。
けど、愛の言葉をささやいても相手に聞こえない程度は離れている。
切ない距離ですよ。
ここまでだったらまだ社内で既婚者に恋した線もありっちゃありです。しかし。
哀しいほどの星空に
天使の声がする
あきらめきれぬ恋でも
夢は見ていたいから・・・
切ない片想い あなたは気づかない
こんなにきれいで切ない歌詞を、ああ残業してんだなって思いたくないじゃないですか。
なので社内恋愛の線は消したい。
そういう流れで見た星空じゃない。これは。
その瞳に運ばれた
涙がせつないね
眠れぬ夜をいくつも
通り過ぎてきた
ここは「木枯らしに抱かれて」には無い歌詞で、これが入ることで歌が男性の歌になっていますよね。自分が泣いているんじゃなくて相手が泣いてる。
たぶん、相手が自分じゃない誰かに失恋するか何かで泣いてるんですよねこれ。で、その姿を見て色々切なくなって眠れない。俺にしとけばいいのにと。
ここで既婚者に惚れた線も私は捨てましたね。なんでかって、そんな見てて幾晩も眠れなくなるほど長いこと泣き暮らしてる女性がいたら、本人に問題がない限り相手に深刻な問題があると思われますから、離婚も考えたらどうかって下心なく言えると思うんですよ。
木枯らしに抱かれて 心はあなたへと・・・
言ってる場合じゃないじゃないですか。DVかもしれない。
まだつきあってる段階ならまあまあ本人の目が覚めるまで見守るのもアリだ思いますけど、既婚だったらちょっとね、誰かが現実的に背中押してあげなきゃいけないですよ。
だからこの段階で黙って忍んでいるなら既婚者に恋した線は無いかなって思いました。
ちなみに自分の方が既婚者という線も、高見沢さん御自身が独身なのにわざわざそんな最低な男を生み出して歌う必要性が皆目わからなかったため、消しました。
もっと何か別の要因による禁断の恋なんですよ。
恋人達はいつか
心傷つくたび
愛する意味を知る
涙・・・やさしく
その手に確かな夢をつかんで
ここも自分のことではなく相手のことを歌っているんですよね。片想いしてるだけの自分は「恋人達」ではないですからね。
相手を慰めているのか、励ましているのか・・・それとも自分がただそういう現実を思い知らされて取り残されているのか。優しくて寂しい歌詞だと思います。
夫婦仲上手くいってない既婚者相手だとこういう優しさにはならない気がするのでやっぱ別の問題ですよ。
既婚じゃないとしたら、相手は恋人と度重なるケンカで分かれて新しい道を歩き始めたようにも思われます。チャンスじゃん!
白い季節の風に吹かれ
寒い冬がやって来る
激しく燃える恋の炎は
誰も消せはしない
そうだよ今こそ行けよ。
冒頭ですべてを忘れたいと言っていた男がここにきて忘れるどころか煉獄に突っ込む勢いになっていくのも普通じゃない歌詞だなって思うんですが。
せつない片想い あなたは気づかない
せつない片想い あなたは気づかない
せつない片想い あなたは気づかない
絶対に行かない。絶対にだ。
小泉今日子が2回しか繰り返さないところ高見沢さんは3回繰り返す念の入れようよ。
どうして。何が彼をそんなに頑なにしているのか。
別れたんじゃなくて喧嘩したけど仲直りしたということだったんだろうか。
でもさあ、それぐらいのことだったら、別にドラゴンボールに「〇〇さんと結婚したい」って言ってもバチは当たらなくない?すべて忘れたいはやっぱり相当もっと何かあるでしょ。
ということを仕事そっちのけで朝昼晩考えましてね・・・
ああでもないこうでもないと可能性を色々排除していった結果、最後に残ったのは次の2つになりました。
①同性に恋をした。
あるいは
②自分が王族。
このどっちかだ。それしかない。
前者はまあね、オーソドックスな答えだと思いますよ。禁断の恋つったら既婚者か近親かこれですよ。近親は最初の一行目からして無いだろう。
後者はね、ハンパな王族じゃないと思いますよ。次期国王レベル。国を背負わなきゃいけない、その責任からは何があっても逃げたりできないんですよ彼は。ローマの休日のあれだよ。
2つまでは絞れました。
しかしこのどっちが正解かという点については、ぶっちゃけ高見沢さんならどっちもありえそうって私の中の馬鹿が囁く。
いやいや無いだろ。あの人あんな綺麗な見た目だが中身はたぶん想像以上に男っぽいし蕨市出身だぞ。
ただ、でも、しかしこの歌、高見沢さんが桜井さんに恋してると仮定すると万事全てが収まるところに収まって説明がついてしまうと私の中の馬鹿は気づいた。
星空に天使の声がしてるとこ、星空のディスタンス歌ってる桜井さんを高見沢恋フィルター通して見たらそう見えそうじゃん、どうしよう。
・・・まあね。
傑作を深く考えるべきじゃないってことですよ。
「木枯らしに抱かれて(・・・)」は美しい。本当に美しい歌だと思います。真面目に。
大好きです。