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2007年1月8日設置 サイト→http://warakosu.syarasoujyu.com/
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スギ「スギね、お散歩してたのよ。そしたらあなたを見つけたの。どこ行くんだろうって思ったの。あなたのことがとっても気になって気になって・・・・昨日からずっと気になってたのよ」
シロ「そ、そうなの?昨日はごめん、ドクツルタケと話してたのに邪魔して」
スギ「いいの。スギ、気にしてないよ?ねえ一緒に歩いていい?どこに行くの?」
シロ「カエンタケの家だよ。昨日あのあとちょっと色々あってさ、お世話になったからお礼言いに行くんだ」
スギ「そうなんだ。シロフクロタケは偉いね。毒キノコとも仲良くしてくれるんだね」
シロ「そんな、そんな差別・・・・しないよ」
スギ「そうなの?」
シロ「うん。もう絶対しないって決めたんだ」
スギ「ふうん・・・そう。じゃあドクツルタケと仲直りした?」
シロ「え?・・・あ!あれは私が悪いんだ」
スギ「なんで?ドクツルタケがあなたを毒にしようとしたのに」
シロ「それは私が先にあいつに変なこと言ったせいなんだ。今日会ったらちゃんと謝って、仲直りするよ」
スギ「・・・・・ふうん・・・・そう」
シロ「スギヒラタケはドクツルタケと仲が良いんだね。昔から?」
スギ「スギはドクツルタケが好きなの」
シロ「そ、そうなんだ」
スギ「昔はおうちが近くだったの。その時は良かったの。だけどスギのおうちだった木が全部腐って崩れちゃったから、お引越ししたのよ。そしたらね、スギ人間に採られるようになった」
シロ「そうなんだ。スギヒラタケはもともと食用だもんね。私も食用だよ。スギヒラタケはどんな料理にされるのが好きだった?私はやっぱりキノコ鍋・・・」
スギ「スギはいや!」
シロ「!」
スギ「人間に採られるのなんていや!いや!いや!」
シロ「そ、そうなんだ・・・・ごめん」
スギ「・・・・・お引越ししてからわかったの。今までスギのところに人間が来なかったのは、スギの棲んでたところがテングタケの土地だったからなのよ」
シロ「テングタケってあの毒キノコの名門の?」
スギ「そうだよ。ドクツルタケもテングタケ科のキノコでしょ」
シロ「そうなの!?」
スギ「知らなかったの?」
シロ「し、知らなかった・・・ていうか考えたことなかった。そうか・・・ドクツルタケ、テングタケ科の・・・」
スギ「ドクツルタケはテングタケの一族の中でもすごく毒の強いキノコなのよ。すごいのよ」
シロ「あいつエリートだったんだ・・・意外!」
スギ「そうなの、ドクツルタケはすごいのよ。うふふふ・・・・・だけどお父さんとケンカして家を飛び出して・・・・・スギがお引越ししたのはそのあと。それから昨日まで会わなかった」
シロ「そうだったのか」
スギ「噂はいっぱい聞いたよ?ドクツルタケがこっちの方で生えてるってことも、シロフクロタケと誤食されるってこともねえ」
シロ「あー・・・ほんとよく間違われるんだ」
スギ「ドクツルタケがかわいそうだねえ。間違って採られるなんて」
シロ「・・・そう、だね」
スギ「でもシロフクロタケはいいね。ドクツルタケと似てたら採られないよねえ?」
シロ「え?あ、うん。そうかな。やっぱり人間も注意する」
スギ「スギはね、似てる毒キノコってあんまり無かったの。ヒラタケもトキイロヒラタケも食用だから。だからひとりになったら誰も守ってくれなくなった。自分で何とかしなくちゃって・・・だから食べて食べて毒になったの」
シロ「・・・・そう言ってたね」
スギ「食べて食べて食べて食べて・・・毒になったらほっとした。スギもう大丈夫だって。・・・だけどね」
シロ「?」
スギ「泣けなくなったの。泣くのが怖いの。泣いたらせっかく溜めた毒が外に出ちゃうよ。食べてる時スギは泣かなかった。それどころじゃなかった。毒になる為に一番大事なことは泣かないことなんだよ。シロフクロタケも泣いちゃダメ。泣かなければ毒になれるよ」
シロ「わ、私は毒にならないよ?」
スギ「なるよ。ドクツルタケがそうするって言ったの、だからなるよ」
シロ「違うんだ。あれはその・・・・私が先にドクツルタケに毒キノコやめろなんて言っちゃったから」
スギ「・・・毒キノコやめる?」
シロ「うん・・・・」
スギ「それ言ったの?シロフクロタケがそれ言ったの?ドクツルタケに?」
シロ「うん・・・・・・」
スギ「ドクツルタケ、それ聞いたときなんて言った?」
シロ「・・・俺が毒キノコやめたら、お前が人間に乱獲されるだろ、って。そう言ってた」
スギ「・・・・・・・・・」
シロ「あいつ優しいんだ。・・・けど!本気だったのかどうかはわかんないなあ、単に色とか形変えるのがめんどくさかっただけかも!」
スギ「・・・・・・そうなんだ」
シロ「あは、ドクツルタケって時々何考えてるかわかんないんだもん。ね?」
スギ「・・・スギにはわかるよ」
シロ「え?」
スギ「ドクツルタケ、毒キノコやめる方法探しに来たんだよ。それでスギのとこに来たんだよ。毒になる方法がわかったら毒やめる方法もわかるかもってそれでスギのところに来たんだよ。そう言ってたよ」
シロ「・・・・・・え・・・・?」
スギ「かわいそうだよねえドクツルタケ。本当にかわいそう。シロフクロタケと間違われて人間に採られるのに、シロフクロタケに毒キノコやめてなんて言われたんだ。シロフクロタケのためなんだ。シロフクロタケのせいなんだ。あなたのせいなんだ」
シロ「スギヒラタケ・・・・?」
スギ「あなたのせいでドクツルタケは傷ついたんだ。あなたのせいでスギのところに来たんだ。あなたのせいでスギのこと嫌いになったんだ。あなたのせいなんだ、全部あなたのせいなんだそうなんだ」
シロ「え・・・・・・え・・・・?」
スギ「大っ嫌い。あんたなんか大っ嫌い。ドクツルタケ返して?スギに返して?ねえ返して?返して?」
シロ「返してって、そんな・・・・」
スギ「返してよぉっ!!ドクツルタケはスギのものだよ!!あんたなんかにあげない!!」
シロ「!!」
スギ「どうしてスギのもの取るの!?どうしてみんなスギのこと嫌いなの!?スギだって嫌いだよ!!シロフクロタケなんか大っ嫌い!!シロフクロタケなんか死んじゃえばいいっ!!」
シロ「スギヒラタケ・・・・・・!」
スギ「死んじゃばいいんだよおおおおおっっ!!!!」
シロ「!!!」
スギ「うわああああっ!!!!!」
ドク「!!シロ・・・・!!!」

 ザシュッ!!

ドク「っ・・・・・!!!」
シロ「!!?」
スギ「・・・・・・ど、ドクツルタ・・・ケ・・・・?」
シロ「ドクツルタケ・・・・な、なんで・・・・?」
ドク「・・・・シロ、お前ケガ、無い・・・・?」
シロ「わ、私は大丈夫・・・・けど・・・・ドクツルタケが・・・・」
ドク「そっか・・・・・・・よかっ・・・・・・・っ・・・・・」
シロ「・・・・ドクツルタケ?ドクツルタケ?ドクツルタケ!おい、ドクツルタケ!!」
スギ「あ・・・・あ・・・・・」
シロ「うそだドクツルタケ!!しっかりしろ!!ドクツルタケっ!!」
スギ「・・・・す、すぎ、わるくない・・・・」
シロ「スギヒラタケ!救急茸呼んで!早く!」
スギ「スギ悪くない・・・!」
シロ「スギヒラタケ早くっ!!」
スギ「シロフクロタケのせいだ!!全部全部シロフクロタケのせいだっ!!スギ悪くないスギ悪くない!!いやいやいやいやあああああああああっ!!!!」
シロ「スギヒラタケ・・・・!!」
スギ「ああああああああああああああああああああああ!!!!!」
シロ「っ!!誰か!誰かあああっ!!」

ツマ「シロちゃんッッ!!!」

シロ「ツマミタケママぁっ!!」
ツマ「どうしたのッ!?どうなってるのッッ!?!?どういうことコレッ!!?」
シロ「ドクツルタケが・・・・ドクツルタケが死んじゃうよぉっ!」
ツマ「ドクツルちゃん!!?ひぃーーーっっ!!ダメよッ!!そんなの絶対ダメッッ!!今すぐ救急茸呼ぶわ呼んでくるわッッ!!ここから一番近いおうちはどこッ!?」
シロ「こ、ここから一番近い・・・・あ!カエンタケ!」
ツマ「カエンタケ!?そうだわすぐに行って来るわシロちゃん!ここ動いちゃダメよッッ!!」
シロ「う、うんっ・・・」
ツマ「すぐ戻ってくるわーーーーッッ!!!」
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 チュン チュン チュン・・・・

ツマ「シロちゃん、朝よーぅ。起きなさぁーい」
シロ「んー・・・。・・・・・。・・・・・!はっ!こ、ここは・・・!?あたっ!・・・うう~っ・・・」
ツマ「おっはぁー、シロちゃん。頭痛いでしょーぅ?ダメよぅ、もうあんなに飲んじゃあ」
シロ「ツマミタケママ・・・?ここ、お店・・・?」
ツマ「覚えて無いのーぅ?」
シロ「う・・・カラカサタケと、カエンタケと・・・・鍋」
ツマ「そうよーぅ。その後は?」
シロ「・・・・・覚えて無い・・・・」
ツマ「シロちゃんお酒飲んで酔っ払っちゃって、カエンタケにおんぶして帰ってきたのよーぅ?」
シロ「カエンタケにおんぶ!?あたっ・・・!」
ツマ「そうよーぅ?それでおうちに帰りたくないっていうからアタシのお店に連れて来ちゃったのよーぅ?全然覚えてないのぉ?」
シロ「う・・・・うん・・・・・あ、ドクツルタケに怒られたのはなんとなく思い出した・・・」
ツマ「ドクツルちゃんとっても心配してたわよぅ。カエンタケの家からここまで運んでくれたのもドクツルちゃんよぅ?今日もシロちゃん起きるころに迎えに来るって言ってたわよーぅ」
シロ「い、いいよそんな、一本で帰れるよ。ツマミタケママありがとう。ごめんなさい、迷惑かけて・・・」
ツマ「いいのよーぅ。アタシ、シロちゃんのためならなんっっでもしてあげちゃう!朝ごはん作ったのよぅ、食べていってねーぇ?」
シロ「う・・・ええと・・・」
ツマ「二日酔いで食欲無いのかも知れないけどーぅ、ちょっとは食べて行かないとカラダに悪いわよーぅ。菌糸に優しいものばっかりにしたから、ねぇ?」
シロ「・・・うん。ありがとう、ママ」


シロ「ごちそう様でした」
ツマ「おいしかったぁ?その落ち葉汁、ちょっと味濃くなかったーぁ?」
シロ「ううん!おいしかったよ。全部食べちゃった」
ツマ「うふふ、傘色も良くなってきたみたいよーぅシロちゃん。・・・それにしても、ドクツルちゃん遅いわねぇ」
シロ「あ!そうだ!私、昨日カエンタケに連れて来てもらったんだよね!?お礼言いに行かなきゃ!」
ツマ「そんなの後でいいわよーぅ。ここから近いし、ドクツルちゃん待ってからにしなさいよーぅ」
シロ「だ、だめだめ!先に行って来る!私が悪いんだもん、ドクツルタケ一緒に行かすことない!」
ツマ「そんなの今更よーぅ」
シロ「すぐ戻ってくるって、ドクツルタケ来たら伝えて下さい!それじゃ!」
ツマ「あ、シロちゃん!?ちょっとシロちゃんっ!・・・・・行っちゃったわぁ、ンもーぅほんとにシロちゃんたら慌てんぼさんなんだからぁ・・・」


ドク「っ!!はぁっ、はぁっ、悪ぃ寝坊した!ママ、シロフクロタケは!?」
ツマ「あらドクツルちゃん、おっはぁ~」
ドク「おっは・・・よう。あいつはっ?」
ツマ「それがねーぇ、カエンタケのところにお礼言いに行って来るって飛び出してっちゃったのよーぅ。すぐ戻ってくるって言ってたわよーぅ?ついさっきだけど、外で会わなかったぁ?」
ドク「・・・行き違ったか・・・何で待たねんだよあいつ・・・」
ツマ「まあまあドクツルちゃん、ゆっくりしてって。急いで来たんでしょーぅ?朝ごはんまだじゃないのーぅ?落ち葉汁よそうわねーぇ?」
ドク「いや、俺そういうの・・・」
カニ「おっはぁ~ママぁ~」
ツマ「あら、カニノツメじゃないのーぅ、どぉしたのぅこんな早く!」
カニ「うっふ、たまにはお店の仕込み手伝おうと思ったのよ~。エライでショ?・・・・あら?アラアラアラ?あらやだドクツルちゃんじゃないの~!久しぶり~!イヤーン、朝からイイ男~!」
ツマ「ちょっとだめよぅ!ドクツルちゃんはお手つきよッ!汚い手でさわんじゃないのーぅ!」
カニ「えぇ~そんな~ぁ。誰よう、ずるいワ~。・・・あ!もしかしてスギヒラタケ!?イヤーン、ショック!」
ドク「違ぇよ。なんでだよ」
カニ「だって~外にいたわよぉ~?」
ドク「なに?」
カニ「ここ来る途中で見たわよぉ。なんかこんな長い杉の枝持って、ちょっとアブナイ感じィ?アタシあのコあんまり好きじゃないわぁ、良かった~ドクツルちゃんのイイキノコじゃなくて~」
ドク「・・・それ、どこに居たんだ?」
カニ「んっとぉ、向こうのほう~?あっちに行ったみたいよぉ、何かニヤニヤしてて怖かったけどぉ~・・・・あ、ここからだとカエンタケの家の方ねぇ」
ドク「!!!!っ・・・!」
カニ「きゃあっ!ちょ、ちょっとドクツルちゃんっ!?」
ツマ「ドクツルちゃん!ちょっとカニノツメッ!お店頼むワッ!!」
カニ「え!?マ、ママまで、どうしたのよぉ~!?」
ツマ「シロちゃんが大変なのよッッ!!ドクツルちゃん待ってーぇ!!」

・・・・・・・・・

カニ「な・・・・なんなのよぉ一体・・・・」



シロ「えーと、ここを曲がって、と・・・・」
スギ「おはよ」
シロ「!あ、君は」
スギ「スギだよ。ふふ、やっと追いついたよ、シロフクロタケ」
シロ「?」



・・・・・クライマックス突入。
迷ったけど・・・・迷ったけどもう突き進んで書く!
       


カエ「・・・・・ようやく静かになりやがったな」
ベニ「はい。・・・・・」
カエ「また無口に戻りやがったか。あいつらと混ざってる時ゃいっぱしの口利けたようだが。ん?」
ベニ「あ、あれはつい・・・・申し訳ありません」
カエ「悪いとは言ってねえ、感心しただけだ」
ベニ「・・・・・・・・・」
カエ「・・・・・・・・・」
ベニ「・・・・・・シロフクロタケさん、大丈夫でしょうか」
カエ「枯れやしねえよ。心配すんな」
ベニ「・・・・・・・・」
カエ「・・・・・・・・」
ベニ「・・・・あの、カラカサタケさん、お元気でしたか」
カエ「元気すぎてアホに磨きがかかってたぜ」
ベニ「・・・・・・・・」
カエ「・・・・・・・・」
ベニ「・・・・・・・・」
カエ「・・・・・・・・」
ベニ「・・・あの、」
カエ「ベニナギナタよ」
ベニ「!」
カエ「お前ぇさ」
ベニ「は、はい」
カエ「お前ぇ・・・山に帰らねえか」
ベニ「・・・・・・・え・・・?」
カエ「このまま俺と一緒にいても仕方あるめえよ」
ベニ「ど・・・どうして・・・!」
カエ「俺ぁもうお前の怯えた顔見るのが嫌ンなっちまった」
ベニ「!・・・・」
カエ「勘違いするなよ。お前が嫌になったってわけじゃあねえ。ただ、昔も今も俺ぁ毒キノコさ。札付きだろうとそうでなかろうと変わったつもりはねえんだ。人間のことは人間でなんとかしろって、昔っからそういう性分でな。薄情かも知れんが猛毒菌でいることに一々悩みやしねえ。お前ぇにとってそれが辛いってんなら、俺達ぁ一緒にいるべきじゃねえよ」
ベニ「・・・・そんな・・・・・」
カエ「それに、これでも俺ぁ女に袖濡らさせるのが嫌いなタチだ。お前ぇが泣くのを見るのが辛い」
ベニ「・・・・・・・・・・・」
カエ「お前はやっぱり山のキノコだ。山のキノコは山に咲く。里のキノコは里に棲む。そういうことにしようじゃねえか」
ベニ「・・・・・・・・・私は・・・・・いや」
カエ「まあ考えてみることさ」
ベニ「カエンタケ・・・・」
カエ「もう寝るぜ」
ベニ「・・・・・・・・・・・」



・・・シリアスです、って思ったんだがまともな神経で読めばカエンタケの台詞はやはりギャグだ。

(16:54)台詞よりなによりカエンタケの足が出すぎだということに今気づいて直した。
危ない危ないあんな裾捲り上げて胡坐かいてたら全部見えるわ。 

シロ「・・・っ、・・・・・っ」
ベニ「落ち着きましたか?シロフクロタケさん。あの、そういえばシロフクロタケさんのおうちの方に誰かご連絡は・・・」
ドク「さっきしといた。俺と遊びに行ってると思ってたらしくてあんま心配してなかったみたいだけど」
カエ「めでてぇ家だな」
ドク「ほらシロフクロタケ。帰るぞ!」
シロ「・・・・帰りたく、ない」
ドク「はぁ!?」
シロ「こんな酔っ払って、帰ったら・・・・お母さんに怒られる・・・!」
ドク「自業自得だろうが!!これ以上迷惑かけんな!!」
シロ「ドクツルタケんち・・・泊めて」

・・・・・・・・・・・・

ドク「駄目。ぜってえ駄目」
カエ「いいじゃねえか、泊めてやれよ」
ドク「マジで駄目!俺もう今日色々あって頭ぐちゃぐちゃしてんだよ、朝までいい子でいられる自信がねえ」
カエ「それもいいじゃねえか、そういうのは成り行きだ。なあベニナギナタ」
ベニ「え、ええっ・・・!?」
オニ「カ、カエンタケ、おおおおおめえまさかベニナギナタさんを・・・」
カエ「あぁ?だったらどうした。一つ傘の下で暮らしてりゃなんだってあらぁな」
ベニ「わ、わ、わ、私はそんなこと・・・・!カエンタケっ・・・!!」
カエ「んん?おいおい、箱入りのお嬢さんかと思やぁ俗な想像もイけるようだなベニナギナタ。こいつぁ意外だ」
ベニ「なっ!わっ、わたくしはっ・・・!」
オニ「カエンタケ!!そ、それ以上言ったらおいどんがゆるさねえでごわすど!!」
カエ「フン。おいドクツルタケ、そいつさっさと持ち帰っちまえよ」
ドク「駄目だ!」
ベニ「あ、あの、よろしければ今夜はここにお泊めしま・・・」
カエ「無粋なこと言ってんじゃねえよベニ。ここぁ俺のうちだ。俺もなんだかんだで疲れてんだぜ、今晩は誰も泊めねぇぞ」
ベニ「カエンタケ!」
カエ「本菌が泊めてっつってんなら同意の上だろう。ほらさっさと家に連れ込んじま・・・・」
ツマ「ダ!メ!よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぅッッ!!!!!」
カエ「!?」
ドク「ツマミタケママ・・・」
ツマ「お年頃のシロちゃんとドクツルちゃんが一つ傘の下で泊まるなんてッッ!!不純よッッ!!そんなの不純よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぅッッッ!!!」
カエ「おい」
ツマ「ダメだめアタシ絶・対・許さないッッ!シロちゃんはアタシのお店に泊めるわよぉぉぉぉぅッッ!」
カエ「おい、酔っ払い飲み屋に泊めるなんざ本末転倒じゃねえか・・・」
ツマ「いいわねシロちゃんッッ!今晩はママと一緒よッッ!いいわねッ!!?」
シロ「うんっ、ありがとう、ツマミタケママ」
ドク「・・・・・・ほら。別に俺じゃなくてもいいんだぜ。何が同意だ」
カエ「今さらがっかりしてんじゃねえよ。だから言ったろうがさっさと連れ込めって」
ドク「次はそうする。・・・・って俺何言ってんだ、あーもうほんと今日ダメだっ」
ツマ「行くわよシロちゃんッッ!オニフスベ、あんたちょっとシロちゃんおぶってあげなさいよぅ、でかい図体してんでしょッッ!!」
オニ「は、はいっ」
ドク「いいよ俺が引きずってく、なんかもう誰もこいつ触んないで腹立つから」
カエ「・・・・荒れてんなぁ、お前さん」
             

やっぱ定期的にこのノリが無いとテンション下がるね・・・・
ツマミタケママは私のミューズ。彼女(♂)のためなら手もちゃんと描く。


ドク「おい、こっち戻ってないか!?」
ベニ「ええ・・・あれから一度も・・・・団地の方にもいなかったのですね」
ドク「ああ、植え込みも街路樹も全部調べた。いない」
ベニ「シロフクロタケさん・・・・一体どこへ・・・・」
ドク「やばい・・・本気で怖くなってきた」
オニ「お、おいどんのせいでごわす!おいどんがあの時、ドクツルタケに嘘なんかつかなければこんなことには!!」
ドク「仕方ねえよ。シロフクロタケが頼んだんだろ。・・・だけどあいつに何かあった時は一発殴らせろよ」
ベニ「こんな時に限ってカエンタケがいないなんて・・・・私ではなんの御役にも立てなくて・・・シロフクロタケさん、どうか無事でいて・・・・!」
ツマ「アタシのせいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおう!!!!」
ドク「!?」
ベニ「ツ、ツマミタケさん・・・」
ツマ「アタシがッ!!アタシがシロちゃんにあんなコト言ったからッ!!あんなコト言ったからよッッ!!ドクツルちゃんを止めてなんてアタシが言ったからッッ!!」
ドク「おい、誰かママを止めろ」
ツマ「キノコ狩りよッ!!シロちゃん可愛いから誘拐されたのよッッ!!人間のシワザよぉぉぉぉぉうッ!!!」
ドク「こんな夜中にキノコ狩りする人間いねえよ、落ち着けよ」
ツマ「もうダメ!ダメよアタシ!!シロちゃんに何かあったら生きていけない!!禁糸よッ!!禁糸するわッ!!アタシ禁糸するわよぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーぅッ!!」
ドク「あんたが禁糸しても何の解決にもならねえだろ!いいから落ち着け!」
ベニ「ツマミタケさん、どうか落ち着いて・・・・!」

カエ「帰ったぜーぃ。・・・・・・お?どうしたお前らお揃いで」

ベニ「カエンタケ!」
ドク「!!シロ!!」
ツマ「シロちゃん!?シロちゃんなの!?どこッ!?どこにいるのッ!?」
カエ「俺の背中で寝コケてるこいつのことかい。やっぱり大騒ぎになってやがったか」
ベニ「カエンタケ、ど、どうしてあなたがシロフクロタケさんを・・・・?」
カエ「話せば長くならぁ。それより早くこいつを引き取ってくれドクツ・・・」
ツマ「シロちゃんッ!!シロちゃああああああんッッ!!!」
オニ「シロフクロタケ!!良かった!良かったでごわす!!!」
カエ「・・・・・お前ぇらは呼んじゃいねえ・・・・」
ツマ「!?お酒!お酒くさいわッ!!アタシのシロちゃんがお酒よッッ!!どういうことッッ!?」
オニ「カエンタケ!!おめえが飲ませたのかっ!!?」
カエ「・・・・まあ俺だ」
ベニ「なんてこと・・・!シロフクロタケさん、シロフクロタケさん大丈夫!?」
ドク「・・・・・・・・・」
カエ「・・・・お前ぇら、ちったぁドクツルタケのために隙間あけてやれって」
ドク「カエンタケ。面倒かけたみたいだな。あいつ何かやらかしたか」
カエ「・・・・。話通じそうなのはお前さんだけだねぇ・・・」


ドク「おい、シロ。シロ!シロフクロタケ!お前みんなに散々心配かけて何やってんだ馬鹿!」
シロ「ん・・・・ドクツルタケ?」
ドク「ドクツルタケじゃねえよ!俺ら夕方から今までお前のことずっと探し回ってたんだぞ!!」
シロ「う・・・・・・・」
ベニ「ドクツルタケさん、そんなにきつく言わないであげて・・・・」
ドク「それがお前はなんだ!?知らないキノコにほいほいついてってそいつの家で鍋食ってた!?あげく酒飲んで酔っ払った!?ふざけんじゃねえぞ馬鹿!!」
シロ「ううっ・・・」
ドク「泣きてえのはこっちだ!お前のことなんか心配して大損したっ!!」
シロ「う、うえぇぇぇぇっ」
ツマ「ちょ、ちょっとドクツルちゃん、言いすぎよーぅ!」
オニ「そうでごわす、とにかく無事で良かったじゃねえか、なあ?」
ベニ「そうですそうです。知らないキノコとは言っても、カラカサタケさんだったのでしょう?彼は本当に良いキノコですからシロフクロタケさんもきっとそれがわかったのですよ。お願い、怒らないで下さい、ドクツルタケさん」
カエ「何言ってんだお前ぇら。甘ぇ。こういうのはしっかり言っとかねえと駄目だ。カラカサだったから良かったようなものの、悪いキノコに引っかかってたらタダじゃ済まねえぞ」
ベニ「カエンタケ!だったらあなたが早く連絡をくれれば良かったではないですか!」
カエ「俺はガキのお守りじゃねえぞベニナギナタ」
シロ「ごめんなさいっ、ごめんなさい・・・・っ!」
ベニ「い、いいのですよ、シロフクロタケさん。泣かないで?ね?私達、あなたが帰ってきてくれて本当に良かったと思っているのよ。だから・・・」
ドク「謝って済むか馬鹿!!」
ツマ「ドクツルちゃん!もういいでしょーぅっ!?」
ドク「良くねえよ!どうせすぐ忘れんだこいつ!」
シロ「う、うえぇっ・・・ド、ドクツルタケは、私のことが、嫌いなん、だ・・・」
ドク「ああ!?」
シロ「やっぱ、り、やっぱりそう、なんだ・・・・毒きのこ、やめろ、って、言ったから・・・・!」
ドク「なに!?なんだって?」
シロ「ごめんねぇっ?ごめんね、ドクツルタケぇ・・・ごめんね、ごめんねぇっ・・・!」
ドク「な、なんだよおい。おい、ちょっ・・・しがみつくな・・・!」
シロ「わたし、が、悪かった、から・・・っく・・・嫌いに、ならない、で・・・っ」
ドク「嫌いにって・・・今はそういう話じゃねえだろ!お前が馬鹿だっつー話してんだろ!」
シロ「ふぇ・・・!」
ドク「あ、おい」
シロ「ド、ドクツルタケに・・・嫌われちゃっ、た・・・うぇぇぇぇっ!ふえええええんっっ!!」
ドク「嫌ってねえって!泣くなおい!お前どこまでバカ!?嫌いな奴のことこんな時間まで捜し歩くキノコがどこにいんだよっ!!あーもう!好きなんだよ!!いい加減わかれよ!!」
シロ「うわああああんっ!!うわああああんっ!!」
ドク「聞いてる!?お前ちゃんと聞いてた今の!?」
シロ「ドクツルタケに嫌われたよぉ・・・っ!ごめんねぇっ!」
ドク「っ・・・・聞いてねえし~っ・・・!」
シロ「うわあああああんっ!!」

ツマ「・・・愛ねッ!愛だわッ!」
カエ「・・・愛かねぇ・・・・」


・・・・・禁糸って何だろう。
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